富田隆弥の【CHART CLUB】 「TOPIXは好転未達」

市況
2019年7月27日 10時00分

◆18日に日経平均株価は422円下げ、日足は陰転を暗示した。しかし、翌19日に420円高してすぐに下げを取り戻すと、その後は25日に2万1756円(ザラバ2万1823円高値)まで上昇を続け、割り込んでいた25日、75日、200日の各移動平均線と7月2日の高値2万1784円を一気に上抜き、日足は再び上昇基調を取り戻した。

◆チャートは18日の急落がダマシとなり、19日から買い戻しを交えて上昇に弾みを付けた格好だ。7月前半の梅雨空に覆われた「膠着相場」から一転、動きが出てきたことで期待も膨らむ。

◆こうなると、前回「様子見」とした自分の判断は誤りだったと言わざるを得ない。ただ、物色が半導体を中心としたハイテク・値がさ株に偏っているのは気掛かりで、中低位株や新興市場の小型株に物色範囲が広がることが望まれる。また、週足チャートは節である52週移動平均線(2万1684円)や一目遅行線の「雲」(2万1684~2万1968円)を週末26日終値で明確に上抜くのか確認したいところでもある。

◆ちなみに、 TOPIX(25日終値1577ポイント)は7月5日の高値1593ポイントや200日移動平均線1597ポイントのまだ下にあり、日足は好転していない。

◆25日のECB理事会では、量的緩和再開の検討方針が示され、ECBは9月にも利下げに動く可能性があるが、来週は日銀金融政策決定会合(29~30日)とFOMC(30~31日)がある。FOMCでの0.25%の利下げ決定はほぼ間違いなく、米国株はそれを織り込み済みだ。バカンスシーズンを控えてNYダウナスダックが上昇基調を続けられるのかも確認してみたい。

◆半導体市況の年後半の回復観測から米SOX指数が6~7月と大きく上昇して、年初来高値を更新した。出遅れていた日本の半導体株はアドバンテスト <6857> や東京エレクトロン <8035> 、ディスコ <6146> などが急速に見直しを強めた。また、安川電機 <6506> など減益を余儀なくされた中国関連株も、株価は「織り込み済み、悪材料出尽くし」という反応を見せている。為替が1ドル=108円台に戻したことで、トヨタ自動車 <7203> も年初来高値を更新するなど、輸出・ハイテク株を中心に買い安心ムードを強めた。

◆25日までの日本株の上昇はこうしたハイテク・値がさ株の上昇が牽引した。裁定買い残が4098億円と最低水準にあり、裁定買いを誘うなら4月の高値2万2362円の指向は難しくない。ただ、裁定買いやハイテク・値がさ株は「米国株次第」という側面も抱えている。米国株はFOMCというイベントを終え、そして8月のバカンス(夏休み)を控えて利益確定売りが出てもおかしくない。

◆梅雨明け間近の関東地方だが、東京市場もいっしょに梅雨明けするだろうか。半導体関連など、たしかに勢いよく上げたが、TOPIXはまだ好転しておらず、やはりこの夏は慌てることなく少し様子を見たいところと感じる。

(7月25日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
株探プレミアムとは

日本株

米国株

PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.