決算先取り、4-6月期「大幅増益」期待リスト 22社選出 <成長株特集>

特集
2019年7月28日 19時30分

20年3月期第1四半期(4-6月)の決算発表が本格化し始めている。本特集では、今週から始まる決算発表ラッシュを前に、足もとで業績拡大トレンドが続き、4-6月期に大幅増益が期待される中小型株にスポットライトを当てた(7月26日現在)。

今回は中国をはじめとする世界景気の先行き不安が強まるなか、外部環境の影響を受けにくい内需関連株に注目した。下表では、サービス、情報・通信、不動産、陸運といった内需セクターの中から、3月期決算企業の直近3ヵ月実績である1-3月期(19年3月期第4四半期)に、経常利益が前年同期比で3四半期以上連続で2ケタ増益を達成し、かつ売上高も増加基調が続く22社を選び出し、1-3月期の増益率が大きい順に記した。持続的に大幅増益を続ける企業は、安定的に成長する可能性が高く、4-6月期(第1四半期)も好業績が期待できる有力候補として注目していいだろう。

増益率トップとなったタカミヤ <2445> の19年1-3月期(第4四半期)は旺盛な建設需要や建設現場での安全基準の高まりを背景に、次世代足場「Iqシステム」を中心とする仮設機材の販売とレンタルが好調で、経常利益は6.9億円と前年同期を3.8倍も上回って着地。20年3月期の同利益は前期比9.7%増の29.2億円に伸びる見通しだ。今期は首都圏の再開発工事や東京五輪のほか、政府が掲げる国土強靭化によるインフラ整備ニーズなどを追い風に、15年3月期に記録した最高益(33.2億円)の更新も視野に入る。

2位に入ったのは医療事務受託と介護で国内最大手のニチイ学館 <9792> 。同社は収益柱である医療と介護の両事業で、教育やヘルスケア、中国事業などの赤字を補う状態が続いており、赤字部門の早期収益化に向けた事業再編を急いでいる。足もとの1-3月期は医療関連や介護事業の収益が伸びたうえ、赤字部門の業績改善も寄与し、経常利益は前年同期比2.7倍の16.6億円に拡大した。20年3月期は英会話教室と中国事業の構造改革を推し進め、経常利益は前期比92.9%増の110億円と8年ぶりの100億円大台乗せを目指す。

続く3位のユニマット リタイアメント・コミュニティ <9707> [JQ]はユニマットグループの介護サービス大手。直近3ヵ月の1-3月期はデイサービスや老人ホームといった主要サービスの稼働率と入居率が向上するなか、人件費などのコストコントロールの継続が奏功し、6四半期連続の2ケタ増益を果たした。20年3月期の経常利益は前期比7%増の31.7億円と3期連続の過去最高益を見込む。指標面では予想PER6.8倍と割安感が強く、4-6月期決算発表を機に買い戻しが入ることが期待される。

4位に入ったテンポイノベーション <3484> は店舗物件を不動産オーナーから賃借し、飲食店へ特化して転貸する店舗賃貸事業を展開する。1-3月期(第4四半期)は不動産業者との関係強化で好採算物件を確保したことに加え、リーシング業務の成約件数が増加し、経常利益は前年同期比72.9%増の1.8億円に膨らんだ。同社は23年3月期に転貸借物件数を前期末の2倍となる3000件に増やす目標を立てており、契約物件数の積み上げによる成長加速が期待される。

5位にリストアップされたのは旅行比較サイト「トラベルコ」を運営するオープンドア <3926> 。足もとではテレビCM効果による利用者増加を背景に成果報酬型の従量課金収入が伸びている。20年3月期は売上高が前期比20.7%増の60億円、経常利益は同28.8%増の22億円と、いずれも過去最高を大幅に更新する計画だ。4-6月期(第1四半期)はゴールデンウィーク10連休を追い風材料に高成長が継続する可能性が高いとみられる。

6位のジャパンエレベーターサービスホールディングス <6544> は株式上場による認知度向上などを背景にエレベーターの保守契約台数やリニューアル案件の受注増加が続く。20年3月期の経常利益は前期比14.9%増の23億円に伸び、3期連続で過去最高益を更新する計画を立てる。同社は期初予想を保守的に算出する傾向が強く、株探プレミアム会員向けに提供している【業績修正履歴】を見ると、前期まで2年連続で期中に2回も上方修正している。4-6月期決算と同時に上方修正する可能性もありそうだ。

7位のジャストシステム <4686> は個人向けに「一太郎」など文書作成ソフトの販売やクラウド型通信教育「スマイルゼミ」を展開するほか、法人向けには営業支援クラウドサービスやデータベースソフトなどのソリューションを提供している。直近3ヵ月の1-3月期(第4四半期)は個人向け、法人向けともに高機能で付加価値の高い新商品・サービスの提供に注力し、経常利益は前年同期比43.6%増の14.1億円に伸びて着地。同社は09年3月期まで4年連続で赤字に陥るなど業績が低迷していたが、09年にキーエンス <6861> と資本業務提携したことを契機に急回復に転じ、19年3月期は実に23年ぶりに経常利益の過去最高益を塗り替えている。

四半期2ケタ増益の連続期数が多い銘柄に目を移すと、11位の製造派遣・請負大手UTグループ <2146> [JQ]が12四半期連続で断トツとなった。1-3月期(第4四半期)は自動車関連を中心に期間工から派遣への切り替え需要が拡大したうえ、高単価・大ロット案件への集約が進み、経常利益は前年同期比32.5%増の22.4億円に伸びた。20年3月期の同利益は前期比21.2%増の99億円と3期連続の最高益更新を目指す。人手不足が続く中、同じく人材関連サービスを主力とする12位のじげん <3679> 、13位のエス・エム・エス <2175> とともに4-6月期の好発進が期待される。

 ┌─ 経常利益 ─┐  増益   今期  予想

コード 銘柄名    増益率 1-3月期  連続期数  増益率  PER

<2445> タカミヤ     276   699     4    9.7 16.9

<9792> ニチイ学館    170   1660     3   92.9 16.6

<9707> ユニマRC   84.9   440     6    7.0  6.8

<3484> テンポイノベ  72.9   185     3   12.3 27.0

<3926> オープンドア  56.4   255     6   28.8 63.7

<6544> Jエレベータ  51.1   606     5   14.9 78.6

<4686> ジャスト    43.6   1414     4    -   -

<4800> オリコン    35.1   308     5    -  24.2

<8935> FJネクスト  34.6   4913     5    9.1  5.0

<9070> トナミHD   34.6   1507     5    4.1  9.9

<2146> UT      32.5   2245    12   21.2 15.9

<3679> じげん     32.3   1114     4    -  26.6

<2175> エスエムエス  31.3   2616     3   14.6 44.1

<2749> JPHD    31.1   953     3   19.8 20.0

<2326> デジアーツ   30.6   956     3   25.5 67.2

<9068> 丸全運     30.4   2159     3    7.0  8.2

<9658> ビジ太田昭   29.1   461     4    2.8 13.3

<9467> アルファP   27.6   379     8   17.9 25.9

<8769> ARM     23.8   322     3    5.8 18.8

<9782> DMS     19.9   338     4    5.4 11.3

<3834> 朝日ネット   16.7   364     4   25.3 17.2

<3844> コムチュア   11.3   672     4   11.6 30.4

※経常利益の単位は百万円。増益率は前年同期に比べた増加率、単位は%。連続期数は前年同期比10%以上増益の連続回数。

※「-」は今期経常利益予想を非開示の企業。

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