桂畑誠治氏【東京市場の梅雨明けはいつ? 夏相場を読む】(1) <相場観特集>
―遠ざかる日経平均2万2000円台、浮上の条件は―
週明け29日の東京株式市場は売りに押される展開を余儀なくされた。日経平均株価2万1000円台後半では売り板が厚く、今の市場エネルギーではなかなか2万2000円の壁は突破しにくいようにも見える。梅雨が明けても東京市場上空の空模様は今一つ冴えない。夏相場はボックス圏推移が続くことになるのか。第一線で活躍する市場関係者にここからの日経平均の見通しと物色の方向性などについて意見を聞いた。
●「上値は2万1800円台が当面のメド」
桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)
市場参加者不足のなか、はっきりしない相場展開が続いている。目先的には7月30~31日に行われる米連邦公開市場委員会(FOMC)が注目されるが、ここでは0.25%の利下げがほぼ確実視されている。米連邦準備理事会(FRB)は今後も利下げを継続する意思をみせることが予想され、米株市場にとって材料出尽くし的な売り圧力は発生しないと見込まれるが、かといってここから上値追いが加速するようなことも考えにくい。
このFOMCに半歩先立って、日銀の金融政策決定会合が29~30日の日程で行われる。フォワードガイダンスとして低金利政策の更なる長期化を示唆するとしても、全体相場への影響は限定的。基本線として、米株高に日本株がついていくスタイルが続くであろう。ただし、日米金利差縮小の思惑がドル安・円高への誘導材料となることから、これは輸出セクター中心に上値を押さえる要因となる。
30~31日には米中貿易協議も行われる。ここで解決に向けた進展がみられないまでも交渉継続という形であれば全体相場の売り要因とはならないと思われる。ただ、場合によっては交渉決裂を意識させるようなコメントが米中両陣営から出てくる可能性もあり、その場合は日米ともに株価は波乱含みとなることが予想され注意が必要だ。このほか、現在進行中の日米貿易交渉の落としどころにも神経を使うことになりそうだ。
当面の日経平均の上値は7月25日につけた高値水準である2万1820円近辺がひとつのメドとなる。また、下値については大きく売り込まれるケースは比較的少ないと考えているが、2万1000円近辺まで下押す可能性があるとみている。
物色の流れとしては、ここ急速に水準を切り上げた半導体関連は上昇が一巡した。日韓の関係悪化や中国ファーウェイ問題などがどういった影響を及ぼすのかはっきりしない現状では、ここから更に大きく上値を出すのは難しそうだ。内需系では消費税引き上げのデメリットは排除できないものの、小売業態に一部駆け込み的な需要が発生することが考えられ、株価に一時的な浮揚力を与えるかもれない。また、外食産業については比較的強い月次動向を示すところもあり、今後は梅雨明けなど天候の改善が追い風となる可能性がある。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(かつらはた・せいじ)
第一生命経済研究所 経済調査部・主任エコノミスト。担当は、米国経済・金融市場・海外経済総括。1992年、日本総合研究所入社。95年、日本経済研究センターに出向。99年、丸三証券入社。日本、米国、欧州、新興国の経済・金融市場などの分析を担当。2001年から現職。この間、欧州、新興国経済などの担当を兼務。
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