明日の株式相場戦略=“中小型株狩り”に負けない賢い投資

市況
2019年8月29日 18時10分

きょう(29日)の東京株式市場は、前場は売り買い交錯の後、日経平均が階段を下りていくように水準を切り下げ10時45分に今日の安値(2万361円)をつけた。その後は踊り場を形成し、後場に入ると今度は逆に階段を上っていくように下値を切り上げる展開となり下げ幅を縮小、大引けにかけてJPX400などのリバランス絡みでやや乱気流に揉まれたが、結局小幅安(18円安)で着地した。

米債券市場の「逆イールド」に対する抵抗力はついたが、東京市場は依然としてプレーヤーが少ない。全体売買代金はJPX400リバランスに伴う上乗せがあったにも関わらず、1兆6000億円台にとどまるなど閑散を極めた。

あすは取引開始前の午前8時50分に7月の鉱工業生産指数が発表されるが、米中摩擦問題の影響がどの程度反映されるかが注目される。事前コンセンサスでは2カ月ぶりの増加が予想されているものの警戒は必要だ。週末要因も考慮するとあまり無理はできない相場となりそうだ。まして、9月1日にトランプ米政権による対中追加関税第4弾が発動される見通しにあり、これを来週の株式市場がどう受け止めるかを見極めたいという雰囲気は避けられない。

個別も難しい地合いが続く。ここにきて向かい風の風速は主力株よりも小型株に強い。チャートを見れば一目瞭然で、日経平均よりも2部指数の方が弱く、2部指数よりも日経ジャスダック平均の方が弱い。最弱のマザーズ指数に至っては3連続で大陰線を引いて年初来安値を更新、これが今の投資マインドを物語っている。邪道とはいえ、上昇した銘柄を空売りのターゲットに置いた方が利益を追求しやすいというのは道理。買う側にすれば貸株調達による売り玉まで読み切るのは容易ではない。ここにきて個人投資家資金が離散する背景にはこうした事情がある。

外資系経由で貸株を調達し、直近上昇した銘柄に空売りを仕掛け、追い証の投げを誘い、理外の下げを待って買い戻すというパターン。こういったケースは、全体相場の足腰が弱ってきた時に多く見受けられる。今は市場エネルギーが乏しいだけになおさらといえる。相場の流れが変わるまでは、慎重に対処するしかない。ただし、当該銘柄が暴落した場合、追い証の投げが枯れればリバウンドに転じる。「地面に刺さったナイフ」を拾うというのは、ある意味虫が良すぎる話で実際は困難だが、そろそろ地面が近いというのは感覚的に分かる。

目先の短期筋の興味はアンジェス<4563>のリバウンドがどこで来るか。あすは週末だが、デイトレード前提で参戦を考えている向きは多いと思われる。

順張り対象としては、直近取り上げた篠崎屋<2926>が商いを膨らませて動意をみせており注目したい。超低位株ながら、足もと復配発表で少なくとも業績面で大きなリスクはないという思惑が働く。短期筋にすれば流動性に富み、ロットを利かせた商いができるのは強みで、きょう1日の動きでは高値121円まで幅にしてわずか7円だが、率に換算すると6%超の上昇と低位ならではのパフォーマンスを発揮している。超低位株は上昇相場が“確変モード”になるまでは常に上ヒゲをつけやすい。したがって、噴き値は売りを優先するにしても、25日移動平均線をサポートとする下値切り上げ波動が崩れない限り、継続的にマークしていける銘柄だ。

このほか、ドライブレコーダー関連でマークしたいのがテックポイント・インク<6697>。米シリコンバレーを拠点とする半導体のファブレスメーカーで、監視カメラ及び車載用カメラ向け半導体で実績が高い。今19年12月期上期は車載半導体部門の売上高が前年同期比で2.2倍と急拡大し、監視カメラと入れ替わり収益の主力となっている。今12月期通期の業績は営業利益段階で前期比33%増の24億800万円を予想している。車載半導体はドライブレコーダーや電子ミラーに用途を拡大させ、先進運転支援システムの普及拡大に照準を合わせた成長戦略を打ち出しており、要注目といえる。

日程面では、あすは前述のように7月の鉱工業生産指数に注目が集まる。また、7月の完全失業率や有効求人倍率も発表される。海外では7月の米個人所得・個人支出、8月の米シカゴ購買部協会景気指数、米消費者態度指数確報値(調査元はミシガン大学)などが開示される見通し。(中村潤一)

出所:みんなの株式(minkabu PRESS)

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