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2019年9月2日 19時30分
特集

迫る消費税引き上げ!「軽減税率関連株」に上昇気流発生中 <株探トップ特集>

―「たかが2%、されど2%」の恩恵享受する有望株を徹底分析、浮上するのはこの株だ―

10月の消費税増税まで1ヵ月を切った。トランプ米政権による中国への制裁関税第4弾が1日から発動され、中国側も同日に報復関税を発表するなど、もはや泥沼状態の米中貿易摩擦に加え、2%の消費増税も景気への悪影響を懸念し東京株式市場に暗雲を投げかけている。ただ、消費増税に伴い始動する「軽減税率制度」では、外食などを除く食品に対しては8%に据え置かれることで、関連する銘柄に思惑がジワリ漂っている。「たかが2%、されど2%」、軽減税率制度スタートで恩恵を受ける関連銘柄を追った。

●あなどることなかれ「2%のお得感」

軽減税率制度は、消費税率が8%から10%に引き上げられる際、低い所得の人への配慮から、「酒類・外食を除く飲食料品」などの購入に係る税率については8%にするというもの。テイクアウト(持ち帰り)やフードデリバリー(出前)も軽減税率の対象となるが、消費者にとっては、どこまでが軽減税率の対象なのか、ややこしいのも事実だ。例えば、飲食(イートイン)のできるコンビニでの食料品購入の場合、持ち帰りの場合は軽減税率が適用されるが、イートインの場合は外食の扱いとなり標準税率が適用されることになる。

株式市場では、この“2%”を巡り思惑が交錯している。消費増税により「2%のお得感」が発生するフードデリバリーやテイクアウトの需要が拡大するのではという期待感から、関連する銘柄に注目が集まっている。「期待はしているが、正直なところわずか2%で、外食から内食への移行が大きく進むとはみていない」(食品製造関係者)という声もあるのは事実だが、ある調査によると案外そうでもなさそうだ。

リクルートライフスタイル(東京都千代田区)の調査・研究機関であるホットペッパーグルメ外食総研が昨年12月5日に発表した「2019年10月の消費税増税と飲食料品への軽減税率適用による、食生活に対する消費者意識調査」によると、「20代男女は飲食店で税率8%適用予定のテイクアウトや出前の利用を増やしたい意向が強い」と分析。「夕食」では「テイクアウトや出前を選ぶ機会が増えそうとした人が28.9%」で最も多かったという。また「外食などは分かりやすく減少予測で、8%が適用される中食(持ち帰って自宅で食べる)などは増加を予測」している。あなどることなかれ「2%のお得感」、少なくともフードデリバリーやテイクアウトにとって追い風になることは、間違いなさそうだ。

●ライドオンHD、業績好調の波に乗る

フードデリバリー関連では、まずライドオンエクスプレスホールディングス <6082> に注目したい。宅配寿司「銀のさら」、宅配御膳「釜寅」などに加え、提携レストランの宅配代行ブランドとして「ファインダイン」を展開している。同社は、8月14日の取引終了後に第1四半期(4-6月)連結決算を発表。営業利益が前年同期比6.3倍となる2億6700万円、純利益は同10.1倍の1億6400万円と大幅増益となった。改元や、ゴールデンウィークの長期化に伴う注文件数の増加により、「銀のさら」、「釜寅」の売り上げが好調に推移。昨年10月のメニュー改定による商品構成の変化で変動費率が改善されたことも寄与した。

株価は、8月20日に1700円まで買われ年初来高値を更新するものの、その後は調整を続け現在は1500円を挟みもみ合う。消費増税接近で物色の矛先が向かう可能性もあるが、やはり好調な業績はなにものにもかえがたい企業の評価ポイント。業績プラス軽減税率の追い風、株価浮上に期待が高まる。

●夢の街は積極攻勢

また、デリバリー総合サイト「出前館」を運営する夢の街創造委員会 <2484> [JQ]は、配達機能を持たない飲食店の出前を可能にするシェアリングデリバリー事業を加速、4月には北海道に進出するなどサービスエリアが順調に拡大している。ただ、6月28日に発表した19年8月期第3四半期累計(18年9月-19年5月)の連結最終損益は600万円の赤字(前年同期は3億8800万円の黒字)に転落。積極的な事業展開と投資実行が響いた格好だが、これは次のステージに向けて攻勢を掛けている証左ともいえる。株価も3月初旬に2375円まで買われ年初来高値をつけたあとは軟調展開。現在は1400円近辺で下値模索の展開が続くが、そろそろ目を配っておきたいところだ。

●中食合戦、わらべや日洋はチルドで勝機

この軽減税率に対しては、コンビニ業界も虎視眈々とニーズを捉える構えだ。ローソン <2651> は8月21日、消費税変更にあわせた中食の強化を発表した。「軽減税率の導入に伴い、持ち帰りで食事やお酒を楽しむ中食ニーズが高まることが想定される」とし、居酒屋、カフェメニューを自宅で楽しめるように、弁当、サラダ、揚げ物、素材にこだわったサンドイッチ、ベーカリーなどの中食商品を、あす3日から順次投入するという。消費増税が迫るなか、セブン&アイ・ホールディングス <3382> 、ファミリーマート <8028> などコンビニ各社を巡る“秋の中食合戦”は激しさを増しそうだ。

こうした動きが強まるなか、中食大手のわらべや日洋ホールディングス <2918> にも目を向けてみたい。株価は、年初来安値圏の1600円近辺でもみ合っていたが、ここにきて株価に浮揚力が働き1800円台をにらむ展開。同社は、入間工場、栃木工場など相次いで閉鎖を発表している。これについて会社側では「弁当については、常温のものよりチルド商品の方が消費期限は長いという利点がある。チルドへのシフトを行うなか、常温の商品しか製造できない工場などについて再編を進めている」(経営企画部)といい、生産体制を見直しチルド商品への注力などで攻勢を掛ける方針だ。また、弁当製造に絡む銘柄では、薄商いながらカネ美食品 <2669> [JQ]、シノブフーズ <2903> [東証2]などの動きも気になるところだ。

●エフピコは「出前館」とタッグ

フードデリバリーや持ち帰り弁当・食品の需要拡大思惑が高まるなか、当然のことながらそれを包む容器業界にもさまざまな動きが出てきている。食品トレー・弁当容器大手のエフピコ <7947> は、7月から夢の街創造委員会が運営する宅配ポータルサイト「出前館」とデリバリー特化型容器の開発に向けた協業を開始している。軽減税率制度を目前に、デリバリー対応店舗が増加しているとし、「出前館」と「エフピコ」は対応店舗へのサポートを拡充するため容器の開発を行うという。

足もと業績も好調で、7月31日に発表した20年3月期第1四半期(4-6月)の連結決算では営業利益が前年同期比21.1%増の29億2400万円、経常利益は前年同期比19.3%増の30億6300万円で着地。電子レンジ対応などの機能を備えたオリジナル製品の売り上げが堅調で、エコトレーをはじめとした環境配慮型製品も伸長した。株価は、年初から大きく上下動を繰り返すも8月8日には7140円まで買われ年初来高値を更新。その後上昇一服も、目先は7000円回復から高値奪回をにらむ。

容器がらみでは、中央化学 <7895> [JQ]にも気配りをしたいところだ。6月後半には、300円近辺の株価が570円まで一気に上昇する急騰劇を演じ投資家の注目を集めた。現在の株価は往って来いの300円水準、商い薄には注意が必要だが、面白い存在といえそうだ。

●牛丼大手、販売体制に死角なし

少々意外かもしれないが、“外食”の範疇に入る吉野家ホールディングス <9861> と松屋フーズホールディングス <9887> にも注目しておきたい。両社は牛丼大手だが、テイクアウトでは他の飲食業態に先駆する存在であることに加え、ここデリバリー企業とも連携を強め“出前”にも積極的だ。業績も好調で、吉野家HDは7月9日取引終了後に第1四半期(3-5月)連結決算を発表。営業利益が10億4400万円(前年同期1億7800万円の赤字)、最終利益10億9700万円(同3億8800万円の赤字)となり、大幅に黒字転換したことがサプライズとなり、この発表を境に株価が大きく居所を変えたことは記憶に新しい。また松屋HDも7月31日の後場取引時間中に第1四半期(4-6月)連結決算を発表、営業利益が前年同期比67.3%増の12億6900万円、純利益は同50.8%増の6億6900万円と大幅増益となった。店舗販売+テイクアウト、そしてデリバリー強化で販売体制に死角なし、牛丼大手からも目が離せない。

消費増税が迫るなか、まずはGMOペイメントゲートウェイ <3769> など「キャッシュレス決済関連株」に注目が集まっている。米国や中国に後塵を拝する日本のキャッシュレス化だが、消費税アップを契機として国もポイント還元などの支援で普及加速を一気に図ろうという算段だ。軽減税率スタートで弁当の容器業が儲かる……まさに、風が吹けば桶屋が儲かる的な発想だが、テーマ性に枯渇する現在の東京市場にとっては、砂漠のオアシスになる可能性も秘めている。

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