富田隆弥の【CHART CLUB】 「好転、リスクオン再開」
◆ここまで一気に上昇するとは驚きだ。日経平均株価は12日現在、8連騰で一時2万1825円まで上げ、8月上旬の急落を取り戻した。
◆2万110~2万750円のボックス相場を1ヵ月ほど続けたが、そこでマーケットは先安懸念とともに売り物をためていた。そして、9月5日にボックスを上抜くと2万1000円、2万1250円、2万1500円とオプション行使価格の節を抜く度に先物に損失回避の買いもの(ストップロスオーダー)が出たのだろう。また、裁定取引残高(9月6日現在)は買い3720億円(前週比1166億円減)に対して売りが2兆666億円(同1282億円増)とさらに膨れており(倍率0.18倍)、その買い戻しも日経平均の上昇を加速させたと言える。
◆日経平均のチャートは200日移動平均線(2万1213円)や52週移動平均線(2万1470円近辺)、週足の一目均衡表の「雲」上限(2万1698円)、7月25日の高値2万1823円など厚い節目を一気にクリアして「好転」を示唆した。これほど休みなく一本調子に大きく上げる様はまさに「チャート屋泣かせ」だが、上昇条件としておいた(1)NYダウの上昇、(2)為替の円安、(3)香港情勢の鎮静化、(4)米中関係の改善などがここにきて一気に表面化したことは見逃せない。
◆そして、(5)円安や米長期金利の上昇転換は「リスクオン」の再開信号だろうし、(6)カネ余りでAIが売買指令を出す時代のマーケットは一方向に動きやすいことを改めて知らしめたと言える。
◆もちろん、サイコロジカルラインが10勝2敗(83%)、RCI9日線100%、同13日線96%など短期テクニカルが過熱信号を灯しており、13日のメジャーSQを通過することからいつ調整してもおかしくはない。また、マネーバブルに伴う「浮かれすぎ」「先安懸念」が払拭されたわけでもなく、どこかでまた「調整懸念」を抱くだろう。ただし、チャートが好転すれば「懸念を一旦封印」するのが常道だ。
◆ちなみに、サイコロジカルラインが「9勝3敗」で止まらず「10勝2敗」に進行中だが、この「10勝」になるということは「それだけ強い地合いにある」ということで、「後々、さらに上がる」というアノマリー(経験則)がある。次に目指すは、4月24日の年初来高値2万2362円となる。
(9月12日 記、毎週土曜日に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース