為替週間見通し:ドルは底堅い値動きか、米追加利下げ予想も円売り継続へ

通貨
2019年9月14日 15時20分

【先週の概況】

■米中協議進展への期待でドル・円は108円台に上昇

先週のドル・円は堅調推移。8月1日以来となる108円台に上昇した。ムニューシン米財務長官が米中閣僚協議を控えて、米中貿易協議は大きく前進したとの見方を示したことや、中国が米国製品の一部を追加関税適用から除外すると発表し、米国側も11日、中国からの輸入品2500億ドル相当を対象とする関税率引き上げの開始について、当初予定していた10月1日から同15日に先送りすると発表したことから、リスク選好的なドル買い・円売りが広がった。

欧州中央銀行(ECB)は12日、中銀預金金利を0.1ポイント引き下げて-0.50%とし、債券購入を再開すると発表したが、ドイツ、フランス、オーストリアなど複数国の中央銀行総裁が緩和策を批判したことから、ユーロ買い・円売りの取引が活発となり、この影響でドル・円の取引でもドル買い・円売りが観測された。

13日のニューヨーク市場でドル・円は、108円を挟んだ水準で底堅く推移した。中国政府が米国の農産物購入を奨励し追加関税対象から除外すると発表したことや、米8月小売売上高や9月米ミシガン大学消費者信頼感指数速報値が予想を上回ったことを受けて米長期金利が大幅に上昇したことから、ドル買いが強まり、ドル・円は108円09銭でこの週の取引を終えた。先週のドル・円の取引レンジは106円76銭から108円26銭となった。ドル・円の取引レンジ:106円76銭-108円26銭。

【今週の見通し】

■ドルは底堅い値動きか、米追加利下げ予想も円売り継続へ

今週のドル・円は底堅い値動きか。米連邦準備制度理事会(FRB)は17-18日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利下げを決定すると予想されており、一時的にドル売りが強まる可能性がある。ただし、通商問題などを巡る米中対立はいずれ解消されるとの思惑が広がっており、リスク要因の後退で円売りは継続し、ドルは下げづらい見通し。先週までに発表された8月消費者物価指数と8月小売売上高は市場予想を上回っており、インフレ鈍化の可能性は大幅に低下していることはドル・円相場に対する支援材料となりそうだ。

今週17-18日に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合では0.25ポイントの追加利下げが賛成多数で決定される見込み。パウエルFRB議長は9月6日に開かれた討論会で世界経済や米国経済にはやや強気な見方を示す一方、FOMCでの追加利下げを示唆しており、市場は0.25ポイントの政策金利引き下げを織り込んでいる。FOMC内には利下げ継続に否定的な意見もあるが、先行き不透明感から慎重姿勢を堅持する方向で討議は一致する公算。トランプ大統領の利下げ要求も意識されそうだが、今回のFOMC会合では景気悪化に備えた予防的な措置としての大幅利下げ(0.50ポイント)が決定される可能性は極めて低いとみられる。

【連邦公開市場委員会(FOMC)】(17-18日開催)

18日(日本時間19日午前3時)にFOMC声明と金融政策が発表される。その後にパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の記者会見も予定されている。市場コンセンサスは25bpの政策金利引き下げだが、利下げ継続の方針が示された場合、ドル売り材料となる可能性がある。

【米・9月フィラデルフィア連銀景況調査(製造業景気指数)】(19日発表予定)

19日発表の米9月フィラデルフィア連銀景況調査(製造業景気指数)は10.8と、8月の16.8から鈍化が見込まれる。17-18日のFOMCではハト派的なスタンスが示される見通しで、重要指標の下振れもドル売りは限定的だろう。

予想レンジ:107円00銭-109円50銭

《FA》

提供:フィスコ

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.