米国株式市場見通し: 7-9月期決算シーズンに突入
先週発表された9月雇用統計は、非農業部門就業者数が予想を下振れた一方で、失業率が低下し労働市場の逼迫を反映した内容となったが、製造業・非製造業PMIがともに予想より悪化したことから、10月の利下げ実施が有力との見方に変化はなさそうだ。製造業・非製造業PMIの結果は、一部企業が米中通商協議の決着を待たずに経営戦略を修正したことを示唆するが、中国への追加関税が予定通り実施されれば、雇用削減や個人消費の鈍化に繋がるだろう。
今週は、7-8日に米中高官協議、10-11日にムニューシン財務長官及びライトハイザー米通商代表部(USTR)代表と中国副首相らによる閣僚級協議が行われる予定だ。米国が対中関税発動を延期し中国が米農産品の購入を再開するなど、両国関係はいくらか改善したものの、予断を許さない状況だ。何らかの合意がなされれば株式市場は素直に反応するだろう。
今週は宅配ピザ会社のドミノ・ピザ(8日)と航空大手のデルタ航空(10日)を皮切りに7-9月期決算発表シーズンに入る。企業業績に投資家の関心が集まるだろう。ドミノ・ピザは、レストランやファストフード店の多くが宅配サービス各社と提携するなか、独自路線を貫いているが、サービスの迅速化とコスト削減を実現できているかに注視したい。10月4日時点のファクトセット社の調査によれば、7-9月期のS&P500構成銘柄の1株利益見通しは、前年同期比4.1%減が予想されている。エネルギー及び素材セクターが減益の要因で、3四半期連続で前年比マイナス成長となる可能性がある。
経済指標では、9月生産者物価指数(PPI)(8日)、9月消費者物価指数(10日)、9月輸入物価指数(11日)などの発表が予定されている。8月の消費者物価指数は食品とエネルギーを除くコア指数が予想を大きく上振れた。9月に入り中国製品への追加関税が発動されたことから、更なる物価上昇が予想される。同指数は金利見通しに重要な指標となるインフレ率に影響を与えるため、注目したい。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ