明日の株式相場戦略=石井表記が映す「強い株」志向の相場

市況
2019年11月11日 17時45分

週明け11日の東京株式市場は日経平均株価が60円安と5日ぶりに反落した。前週の日経平均は押し目待ちに押し目なしで4営業日続伸し、この間に541円も水準を切り上げたことを考えれば、ここでの上昇一服は当然といえるが、下げたのはあくまで日経平均。相場のベクトルは上を向いたままだ。TOPIXはプラス圏を確保し、何といっても東証1部の1300近い銘柄が上昇しており、値下がり銘柄数を500あまりも上回ったことはリスク選好地合いの証にほかならない。小型株への資金シフトが目立ち、東証2部指数日経ジャスダック平均マザーズ指数が揃って上昇していることからも、足もとの潮の流れがアクティブな個人投資家資金に味方していることがうかがえる。

きょうは、総論的見地からは東京市場に向かい風となる材料が多かった。前週末の米国株市場はNYダウナスダック総合指数、S&P500指数いずれも最高値を更新したが、NYダウは引け際までマイナス圏で推移し、大引けはかろうじて6ドル高で着地したが、基本的には調整モード。また、きょう取引開始前に内閣府から発表された9月の機械受注はプラスを予想していた市場コンセンサスを裏切り、3カ月連続のマイナス。アジア株市場は香港でのデモ激化の流れを嫌気し軒並み安。香港ハンセン指数は一時約3%の下落をみせている。したがって、世界景気敏感セクターの電機や機械セクターの主力株は再び買いにくい局面に入っている。

今週木曜日(14日)に中国の工業生産や小売売上高、固定資産投資(いずれも10月分)など重要指標がまとめて発表されるが、この数字がどうなるか、そしてそれをマーケットがどう評価するかが、当面のリスクオン相場が継続するのかどうかを占ううえで、タイミング的にもいつも以上に重視されそうだ。これまで通り、カネ余りによる世界的な流動性相場が強く意識されるのであれば、予想を下回った場合に、これが中国政府当局による経済政策期待にすり替わり株式市場にはポジティブに働く。ただし、ここ最近は足もとの景気や企業業績が悪くても、政策期待や下期以降の業績底入れ期待で問答無用に買い上がってきた部分があり、ここは「強気の市場コンセンサスの反動」も顕在化しやすい。過度な期待を寄せず、半身に構えておく方がよいかもしれない。

もちろん半身というのは次に備えるという意味で、全体相場は下げたところを押し目買いで対処するというのが基本戦略。11月中旬は短期的な調整局面を念頭に置いての買い場探しというスタンスでよいと思われる。

個別では急騰後にいったん利食われた銘柄が大きく切り返すパターンが多い。材料株相場が活発化すると、「鉄は熱いうちに打て」でこうしたケースが目立ってくる。この場合は、前につけた高値を抜き去るというのが暗黙のコンセンサスとなるが、例えばきょうの石井表記<6336>などは、そのセオリーを意識させる動きとなっている。

強い株につけを実践するならば、目先的にデクセリアルズ<4980>のチャートに魅力を感じる。電気自動車(EV)の普及と同時進行的に注目されるCASE関連で化学セクターに商機が膨らんでおり、そのなか同社はヘッドアップディスプレー向けフィルム素材などで活躍余地がある。同社は半導体関連の一角でもあるが、引き続き半導体に絡む中小型株は草刈り場の様相を呈しており、このほかでは半導体商社のイノテック<9880>や耐火断熱材の大手で半導体製造装置向けセラミックに光が当たっているイソライト工業<5358>などもマークしておきたい。

日程面では、あすは10月のマネーストック、10月の工作機械受のほか30年国債の入札がある。また、海外では11月の独ZEW(欧州経済研究センター)景況感指数に注目度が高い。(中村潤一)

出所:MINKABU PRESS

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