明日の株式相場戦略=決算発表通過、全方位型で個別物色に花が咲く
週明け18日の東京株式市場は日経平均が続伸。前週末に米国株市場でNYダウ、ナスダック総合指数、S&P500指数いずれも史上最高値を更新したことで、それに引き上げられる形となった。米中協議の動向次第という解釈が多いが、市場のコンセンサスは遅かれ早かれ部分合意に至る、という見方で固まっている。内容についてもある程度は宙ぶらりんの状態であっても、12月15日の対中関税引き上げが回避できればOKというムードだ。年末に向け流動性相場の色彩を強めるなか、全方位型の個別物色で花を咲かせる銘柄が相次ぎそうだ。
香港情勢は引き続き注意が必要だが、きょうは香港ハンセン指数が1%以上の上昇をみせたことで売り手掛かりとする動きは封じられている。ドル・円相場も足もと円安方向に振れ、これも市場心理にポジティブに作用している。
企業の決算発表については、通過してみれば売り方の買い戻しを誘発するパターンが本流を形成し、上昇相場を後押しした形。決算発表前から企業業績は厳しいという認識が染みわたっていたから、とは後だから言える話だが、懐疑の森の中で薄暗い状態が株式市場には心地良かったということになる。日経平均は2018年1月と10月にダブルトップを形成した2万4100~4200円近辺への再チャレンジが現実味を帯びてきた。
個別ではイメージ ワン<2667>が再び動意急となっている。13日に決算発表を受けストップ高に買われた後反落したが、前週末に下げ止まりきょうは長い陽線を形成。一筋縄では行かない暴れ馬のような銘柄だが、ファンドの戻り売りを浴びる要素があまりなく、きょうはほぼ高値引けとなり上ヒゲを出さない形で引けた。5G普及に伴い同社の医療画像システムに新境地が開ける可能性があり、テーマ性も携えている。
また、日本M&Aセンター<2127>やGCA<2174>などM&A関連が足並みを揃え新値近辺で強い動き。押し目買い対象として面白いと思われる。今話題性がある地銀絡みでは前者、対米クロスボーダー案件の充実を買うなら後者に注目となる。
国土強靱化関連では建設コンサルのFCホールディングス<6542>が強さを発揮。人工知能(AI)やビッグデータ解析などのICTに重心を置き、異業種連携も含めたM&A戦略を推進、光通信<9435>が株主に入っている銘柄としても思惑を内包している。同じく建設周辺では、建築向け土木工事積算ソフト開発で実績が高く、好業績が光るビーイング<4734>もきょうの戻り足で上向きの25日移動平均線上に浮上、マークしておく価値がありそうだ。このほかでは、目先動意含みの日邦産業<9913>。産業資材全般の販売や樹脂成形品、電子部材などを扱う商社で指標面でも割安。20年3月期は営業利益段階で前期比7割増の11億円予想と業績回復色が強い。
日程面では、あすは海外で10月の米住宅着工件数及び建設許可件数が発表される。豪中銀が金融政策会合の議事要旨も開示される見通し。(中村潤一)