明日の株式相場戦略=アベノミクス相場頂点超えの確度
週明け(25日)の東京株式市場はリスクオン環境が継続、日経平均は一時230円あまりの上昇をみせた。後場は伸び悩んだとはいえ、そのまま値を消すようなことはなく、後半はしっかり買い直されているところに今の相場の強さをみる。米株上昇の背景にある米中協議の進展期待はカメレオンのように失望に変わることの繰り返しで、株高の拠り所となるほどしっかりしたものでは全くない。それでもトランプ米大統領と習近平国家主席のにらみ合いが、お互いが落としどころを探しているような顔つきに変わってきていることをマーケットは静かに感じ取っている。
また、米景気の強さ、特に個人消費の強さが株高の礎となっていることは間違いのないところ。米国では株価上昇が個人消費を支え、強い個人消費が強靱な経済を牽引し、経済に対する自信が株高に戻ってくるというような好循環にある。今週は29日のブラックフライデーから年末商戦突入の風情となり、株高賛成ムードが高まる可能性がある。
相対的に出遅れる東京株式市場も、年末相場でその恩恵を享受するとみるのが、現時点では自然なシナリオといえる。日経平均はまだ2万3000円台固めのタームであり、ここから9月、10月に続く上昇第3波突入の蓋然性に言及するのは時期尚早の感もある。ただ、現在の市場関係者の目線は2万4000円ライン、そして18年1月と10月にダブルトップに近い形でつけた2万4200円近辺の高峰、アベノミクス相場の頂点超えに向いていることは確かだ。米中対立が大局的に緩和の方向に向かい、FRBのハト派的姿勢に変化がなければ、米株主導でそれは早晩実現しそうな雰囲気だ。
個別では、建設周辺に引き続き注目。大手ゼネコンでは強い値運びをみせているのが大林組<1802>と清水建設<1803>で、この2銘柄のチャートは極めて似ている。やや上値が重かった大成建設<1801>や鹿島<1812>も直近は、調整一巡から再び上値を慕う展開をみせている。前週も触れたが、自民・公明両党は「真水」で10兆円規模の補正予算を求める方向で一致したことが伝わっている。直近では、補正が真水で10兆円を超えたのはアベノミクス相場の初動である2012年度以来ということのようで、今回同規模の補正が現実化した場合は「アベノミクス・リターンズ」を予期するだけのインパクトはある。ただ、投資家のスタンスとしてゼネコンを買うよりはもっといい選択肢がありそうだ。
例えば、建設コンサルティング会社は国土基盤の整備にはじまり、街づくり、防災・減災など幅広くインフラ構築のニーズに対応、財政出動となれば活躍余地は一気に広がる。そのなか、10月末と11月1日に並びでつけた高値785円をきょう上抜き年初来高値圏に突入したオオバ<9765>は改めて注目か。同社は5月決算企業で、目先は今週27日の実質月内最終日を目前に控え中間配当(7円)獲りの動きも絡んでくる。また、権利落ち後に押し目があればそこは買い場となる公算が大きい。
このほか、建設以外では直近取り上げた東北新社<2329>やレイ<4317>などの映像コンテンツ制作会社の上値指向が鮮烈だ。東京五輪絡みの需要を意識して、持ち前の足の軽さを発揮している。
また、電気自動車(EV)向け難燃剤開発で思惑を内包するマナック<4364>が直近の戻り高値をブレークして、いよいよ2月4日につけた年初来高値605円超えが視界に入っている。日足で上ヒゲ形成が多く、参戦する際には緩んだところを買うというテクニックが求められるが、大勢トレンドは着実に下値を切り上げている点に着目したい。
個別材料株ではキャッシュレス決済関連のウェルネット<2428>、防護服のアゼアス<3161>などもチャート妙味があり、目先マークしておきたい。
日程面では、あすは10月の企業向けサービス価格指数が取引開始前に発表される。このほか40年国債の入札も予定されている。海外では10月の米新築住宅販売件数、11月の米消費者信頼感指数が発表される。また、中国電子商取引大手のアリババ集団が香港市場に株式上場(重複上場)する。(中村潤一)