【植木靖男の相場展望】 ─ 師走の第1週前半が正念場か
「師走の第1週前半が正念場か」
●手こずる第1目標のクリアはなるか?
時は移ろい、早くも師走相場を迎えようとしている。12月は二日新甫。昔から荒れると言われるが、ただでさえ師走の慌ただしい時期だけに、めまぐるしい売り買いとなりそうだ。いわゆる、餅つき相場である。
いま、個人投資家の60%は目先筋と言われるだけに、なおさらであろう。
さて、日経平均株価は11月12日の高値2万3520円(終値ベース)をめぐって攻防が激化してきた。この水準は今後、昨年10月の高値2万4270円を最終目標とすれば、最初の第1目標である。
この第1目標に手こずっているのが現状。いつ、上抜けるのか。すでに、年初来高値から12日ほど経過している。小休止はあって当然ともいえるが、やや日柄がかかりすぎる。通常は、8~9日で高値を抜く。時間がたてばたつほど買い方に失望感が芽生える。
ここでの値動きで、11月29日には日経平均は続落し警告サイレンが鳴った。このため、12月第1週の前半相場が注目される。今年はあわや、という段になって反発、首の皮一枚つながって切り返したケースが多々ある。
今回、2部市場、ジャスダック市場などが動意づいているだけに、こうした市場が相場全体を牽引してくれればありがたいのだが…。
●世界株式市場を支える“金余り”
ところで、理屈での材料は相も変わらず、米中通商協議に一喜一憂している。制裁・報復関税が発動される12月15日までに両国が握手できるのか。こればかりは、どうにも判断できない。
いずれにしても、現状では日経平均、そしてドル・円相場はつながっていて、そのつながりを米国株価が支えるという図式である。具体的には、日経平均の2万3520円(11月12日)。ドル・円の109.49円(11月7日)が達成されて、米国株価が堅調に推移する――これがベストシナリオだ。そうなれば、第1目標を上抜き、第2目標のSQ値2万3637円、そして第3目標の2万4000円大台がみえてくるはず。
さらに加えれば、今の世界の株式市場は金余りが株価を支えている。この資金過剰が反転しない限り大きな下げはないといってよいだろう。
このことは、物色の流れに大きな影響を及ぼしている。最近よく、業績と株価にはカイ離がみられるという。つまり、業績がよくないと言われる銘柄が、悪材料が出尽くしたといった表現で買われる。しかし、出尽くしたのではなく、金余りのゆえである。依然、米国低格付け債が買われているのが、何よりの証である。
ということを念頭に今回、面白そうな銘柄を探してみた。
ソニーフィナンシャルホールディングス <8729> 。生命保険が収益の柱だが、損害保険、銀行など金融全般を網羅する。このほか、アマゾンを後ろ盾とする丸和運輸機関 <9090> 。困ったとき動意をみせるワークマン <7564> [JQ]。中期でみて、これらは外せない銘柄といえよう。
2019年11月29日 記
株探ニュース