【村瀬智一が斬る!深層マーケット】 ─出遅れよりも過熱銘柄の一段高を狙うスタンス
「出遅れよりも過熱銘柄の一段高を狙うスタンス」
●個人主体の材料株物色が中心
米中通商交渉で第1段階目の合意に達したこと、英総選挙では与党・保守党の圧勝となったことを受け、足元の不安要因が後退した。しかしながら、テクニカル面でみると、日経平均株価は昨年1月、10月高値とのダブルトップの水準まで到達してきており、この抵抗水準の突破には、もう一段の支援材料が待たれる。米中通商交渉の第1段階目の合意についても、クリスマス商戦での混乱を避ける狙いからの、いわゆる休戦である。2020年1月初めの署名を目指して中国と合意文書の作成作業を進めるとしており、これを待ちたいところでもあろう。
なお、今週の日経平均は週前半に年初来高値を更新した後は、じりじりと先週末の急騰に対する調整をみせている。利益確定といった報道も聞かれるが、結局のところはクリスマス休暇前のポジション調整に伴うリバランス中心の商いであろう。来週は、24日がクリスマス・イブで海外の主要市場は休場もしくは短縮取引となる。25日はクリスマスで休場。26日は欧州など一部でボクシングデーの祝日となる。そのため、海外勢のフローは限られるほか、国内の機関投資家においても商いが細る中で、主力どころはクリスマス休暇に入るだろう。
こういった需給状況の中では、個人投資家中心の材料株物色がメインになりそうだ。今週はIPOラッシュとなったが、概ね好スタートとなり、さらに初値形成後も資金が向かう活況であった。上場以降は値を下げる銘柄も少なくはないが、需給が軽い分、押し目狙いの動きも活発である。
もっとも、本来であればIPOでの換金売り一巡後は、出遅れ感のある他の中小型株のほか、来年のテーマとなり得る銘柄への中長期的な物色が意識されやすいところではある。しかし、第1段階目の合意とはいえ、米中の意見の食い違いもあり、不透明要因は完全には払拭されていない。そのため、物色対象に広がりがみられるというよりは、直近IPO銘柄での循環的な値幅取り狙いが中心になるだろう。
また、来週は受け渡しベースで2019年最終となる。年を跨ぐポジションは避けたいところであろうが、特に信用売りで逆日歩が発生している銘柄などは、買い戻しを誘う流れになろう。また、材料株についても、出遅れ感のある銘柄を拾うという投資行動よりも、足元で強い動きをみせている銘柄へ、ショートカバー狙いの買いも加わって一段高狙いのスタンスになろう。
そのため、今週の参考銘柄は年初からの上昇率が大きい銘柄の中で、売買代金が直近で膨れている銘柄から選定している。過熱感は当然であるが、それ故に回転が効いているため、需給状況は良好である。
●今週の活躍期待「注目5銘柄」
◆大興電子通信 <8023> [東証2]
製造業向け生産管理システム、間接材調達支援システム、クラウド型WEB-EDIサービス、専門店向けPOS・MD・在庫管理システムなどを提供する情報サービス関連商社。売上の4割を占めるソフトウェアサービスでは、民需分野が堅調。保守サービスでは、ストックビジネスが堅調に推移している。 5G/ IoTの本格普及など、政府のデジタルトランスフォーメーション推進の流れが引き続き追い風になろう。
◆カチタス <8919>
中古住宅再生事業を展開。戸建ての空き家を中心に買い取り、リフォームにより再生して販売する。全国100店舗以上で累計5万戸以上の買い取り・販売実績を有する。 空き家問題は都市部も含めて日本の大きな問題であり、高齢化とともに団塊世代の相続が進むなか、空き家の急速な増加が見込まれている。日本政府も空き家問題の解消に対して積極的に取り組む方針であり、住宅再生事業の成長性への期待値は高い。
◆星和電機 <6748>
道路情報板等の情報表示システム、河川情報表示システム、トンネル防災システム、津波情報表示システム、LED式信号機、リチウムイオン電池式無停電電源装置、ノイズ対策製品事業などを展開。政府の大型経済対策に伴う国土強靭化計画により、 防災・減災対策を含め関連需要は増加するとみられる。また、 5G本格普及に向けて、信号機を中継器とする計画もあり、材料視されよう。
◆グリムス <3150> [JQ]
事業者向け電子ブレーカー・LED照明・省エネ設備の販売、高圧電力需要家向け電力取次、エネルギーマネジメントシステム等のエネルギーコストソリューション事業、太陽光システム・ 蓄電池・オール電化といったスマートハウスプロジェクト事業や小売電気事業を手掛ける。蓄電池市場は、災害時の非常用電源としての需要が増加。また、2019年11月以降、住宅用太陽光発電設備のFIT(固定価格)買取期間が満了するユーザーによる蓄電池の導入が進んでいる。
◆santec <6777> [JQ]
光通信の必須部品や測定器、光ネットワーク環境を利用したソフトウェア等を手掛けている。製造現場向けの波長可変光源およびパワーメータ等を組み合わせた部品評価システムの売上が想定以上に好調。また、中国への製造現場向けの波長可変光源およびパワーメータ等を組み合わせた部品評価システムも伸びている。 (2019年12月20日 記)
【次回は新年1月1日に「新春お年玉企画」を配信します】
次回は新年1月1日に「村瀬智一が斬る!子年『有望株!』 <新春お年玉企画>」を配信いたします。ご期待ください!(編集部)
株探ニュース