馬渕治好氏【2万4000円攻防、年末年始相場の急所を読む】(2) <相場観特集>
― 一筋縄でいかないバブル後高値更新、気になる上値の重さ―
週明け23日の東京市場は日経平均株価が小反発したものの上値の重さは拭えなくなっている。米国株高でリスク選好ムードは続いている一方、目先高値警戒感からの利益確定売りの動きも観測されるなか、2万4000円近辺は強弱感が対立している。米国株主導で年末年始相場はどういった値運びをみせるのか。長きにわたり株式マーケットに身を置くベテラン市場関係者に当面の株価見通しとポイントについて意見を聞いた。
●「期待先行の買い一巡で年始以降は調整モード」
馬渕治好氏(ブーケ・ド・フルーレット 代表)
東京株式市場は、足もと下値では買いが入るものの上値を積極的に買う動きが一巡している。海外投資家のクリスマス休暇入りで市場エネルギーに乏しく、年内は売り買いともに方向性が出にくく2万4000円近辺で小動きが続くとみている。
北朝鮮問題が地政学リスクとして横たわるが、これを除けば年内はリスク要因として主だったものは見当たらず、一部で警戒される昨年のクリスマス暴落のような波乱はなさそうだ。しかし、今は期待先行で買われ過ぎているフシがあり20年の年明けからは株価に調整圧力がかかりやすい地合いになると考えている。
リスクオン相場の中軸である米国株市場は、PER的には割高圏で、ここ全体を牽引している半導体関連物色の流れ自体は否定できないものの、全体観として米中協議の進展期待で買われた部分は修正が見込まれる。米中の“第1段階合意”についてはおそらく来年1月中に署名がなされると思うが、問題は“その次の合意”が見通せない状況にあることで、今回の正式合意で目先は材料出尽くし的なムードが強くなるとみている。
国内景気も不安は拭えない。コア機械受注が10月まで4ヵ月連続で前月比マイナスとなるなど経済指標にも弱いものが目立つ。消費増税のネガティブな要素を経済はまだ織り込み切れていない可能性がある。全体企業業績は現在の予測水準からも一段の下方修正含みとなりそうだ。
結論として、バブル崩壊後のザラ場高値2万4448円奪回は難しいと考えている。新年相場では下値を探る展開となり2万3000円水準を割り込む展開が予想される。ただ、(日経ジャスダック平均の上昇トレンドが象徴するように)中小型の個別材料株物色の流れは旺盛で、これは今後も続くとみている。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(まぶち・はるよし)
1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米MIT修士課程修了。米国CFA(証券アナリスト)。マスコミ出演は多数。最新の書籍は「投資の鉄人」(共著、日本経済新聞出版社)。日本経済新聞夕刊のコラム「十字路」の執筆陣のひとり。
株探ニュース