ゼロから始める「株探」の歩き方 ― (11)決算発表予定前に確認したいニュースと数字、株価いろいろ
「決算発表前に確認すべきポイントと流れ」
◆努力の分だけ期待できる決算の確認作業
個別銘柄の決算ページでは、企業名やPERなどの株価指標が掲載されている銘柄欄の右下に、赤色で目立つように「決算発表予定日」が記載されています(図3参照)。それを確認して上から順番にページを見ていきます。
一番上にある「今期の業績予想」の「通期」と「半期」を確認します。その下には「キャッシュフロー(CF=現金収支)推移」があります。一番下には「業績・財務推移【実績】」が置かれ、「3ヵ月決算【実績】」「財務 【実績】」と並んでいます。「1Q、2Q、3Q、4Q」の表示は1年を4期ごとに区切って、オレンジ色に塗られた領域によって第何四半期の決算・財務であるのかを示しています。たとえば、1Qだけオレンジ色で塗られていれば第1四半期、1Qと2Qが塗られていればこの2つを合わせた第2四半期累計(上期)の決算・財務となります。
図3 個別銘柄の決算ページ
投資家の方からは「たくさんデータを見るのは大変なので、どの数字を確認するのがいいですか?」などと質問されることが多くあります。個人的には、努力した分だけ利益を期待できると思っていますから、ベストな回答としては「数字はできれば一つひとつ全部確認したほうがよい」になります。
ただ、決算の分析にかけられる時間も労力も限られるという人も多いでしょう。たとえば、バリュー投資であればページの下部にある「業績・財務推移【実績】」の「財務 【実績】」欄で資産面から株価が割安なのか(図4参照)、それともグロース投資であれば、ページ上部の「今期の業績予想」に書かれている売上高や各利益から業績が好調に推移しているのかなど(図3参照)、自分の投資スタイルに合わせて数字を確認していけばよいでしょう。
図4 個別決算の決算ページ 「財務【実績】」
数字を確認していく時の基本は、業績が順調であるか、会社の資産が適正であるのかのチェックになります。たとえば業績の場合で考えると、そもそも業績が悪化しているような場合は、株価が下落している場合が多いと考えられ、株価の動きから事前に大まかな業績トレンドを想定することができますが、それも絶対ではありません。業績は好調に推移しているのかという視点で、発表された実際の決算でそれぞれの数字を確認していくことが大切です。
そして、銘柄欄の下に並ぶタブの中から「チャート」をクリックして、決算内容がどう評価されているのかを、多機能チャートの株価推移を見ることで確認しましょう。
なぜ、株価のチャートを確認することが必要なのでしょうか。たとえば株価が年初来安値の水準で推移しているのは、株価が安い水準に置かれている理由がある場合が多いです。もし、業績が好調になれば、株価は割安と判断されて水準訂正が起き、値上がりに転じるでしょう。反対に、業績が低迷したまま、もしくは悪化することになれば、たとえ株価が安値圏にあっても割高な水準とみなされて、株価は底割れしてしまう恐れもあります。テクニカル派とファンダメンタルズ派の間では分析手法の優劣を競う議論がありますが、そんなことはムダでしかありません。両方を組み合わせて使っていきましょう。
なお、決算の項目については第4回から第6回で、チャートの見方については第7回から第10回で解説していますので、基本を確認してください。
前回の決算内容と株価動きの確認を終えたら、その後はどのようなニュースが出ているのかを確認していきましょう。銘柄欄の下にある「ニュース」のタブをクリックすると、ニュース「全件」のページが開かれます。「全件」では、その銘柄に関わるニュースを材料ニュースや開示情報といったカテゴリーに関係なく一覧で確認することができます。ここでは過去の決算を確認したいので、カテゴリー項目の「決算速報」のタブをクリックして決算発表や業績修正に関するニュースを表示させます(図5参照)。決算内容を一つひとつ、現在から過去に遡る流れで確認してください。
図5 個別銘柄「決算速報」ニュース
ここまで決算発表に関するニュースを確認していけば、業績についての事実を一通り確認することができます。株価は思惑や期待などでも動いたりして、それがまたおもしろかったりするのも事実ですが、実態を伴わない思惑や期待が剥落した時のダメージはすさまじいものになりがちです。そうしたリスクを少しでも低減するためにも、決算内容をしっかりと確認するようにしましょう。
次回以降は、株探で使えるその他のニュースをどう読み解くのかを解説していく予定です。
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