米民主党は左派切り開始【フィスコ・コラム】

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2020年1月26日 9時00分

11月のアメリカ大統領選に向け、各党の本格的な候補者選びがスタート。このうち、混戦模様の民主党では、党執行部のメディアを使った左派潰しが早くも支持者離れを誘発しかねない展開です。トランプ再選をアシストするプロセスと言えるでしょう。

民主党の候補者は現時点で10人を超えていますが、目先4人程度に絞られる公算です。ある大学による直近の世論調査ではトップがジョー・バイデン前副大統、以下バーニー・サンダース上院議員、ピート・ブッディジェージ元サウスベンド市長、エリザベス・ウォーレン上院議員と続いています。ウォーレン氏は秋口まで人気が上昇していましたが、その後は失速し第4位に甘んじているようです。

目下、2月3日に行われるアイオワ州での党員集会が、本選の前哨戦として注目されています。同州はその時の情勢によって選挙結果が変わるスイングステートで、本選に向け一定の目安となります。前回の2016年の大統領選では、民主党のクリントン候補は40%あまりにとどまったのに対し、共和党のトランプ候補は50%超となって弾みをつけ、そのまま「まさか」の勝利に突き進みました。

今回の民主党の党員集会でバイデン氏のトップは変わらないとみられます。一方でサンダース、ウォーレンの両氏は同じ左派系で票を分け合うのに乗じてブッディジェージ氏、あるいはエイミー・クロブチャー上院議員が浮上するかもしれません。いずれにしても、左派系2氏の争いは激化しそうです。民主党執行部にとって、それは願ってもない理想的な展開と言えるのではないでしょうか。

4年前を振り返ってみましょう。当初は泡沫候補とみられていたサンダース氏は反エスタブリッシュメントを訴え本命のクリントン氏に支持率で一時リードします。しかし、執行部は大手メディアを抱え込み「女性初の大統領」を誕生させようと躍起でした。サンダース氏を抑えるためにあの手この手で結果を捻じ曲げたことも、後に明らかになりました。それがリベラル層の信認を失った要因です。

最近のCNNでの討論会では、ウォーレン氏がサンダース氏から今回の大統領選は「女性では勝てない」と過去に言われたとのニュースがクローズアップされました。サンダース氏はその手の不用意な発言はしないタイプで、実際それを否定しています。にもかかわらず、この討論会を仕切った女性キャスターは、サンダース氏がそのように発言したと決めつけて議論を進めようとする場面がありました。

CNNは2016年に「クリントン・ニューズ・ネットワーク」と揶揄(やゆ)されたほどで、民主党執行部とは一心同体とみられます。執行部は現時点でウォーレン氏に肩入れして左派どうしの対立をあおり、両者が自滅するシナリオを描いているのが見て取れます。民主党はサンダース氏を擁立してでもトランプ氏に勝つことより、トランプ氏には勝てそうもないバイデン氏を選出しようとするでしょう。トランプ再選はほぼ確実のようです。

(吉池 威)

※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。

《SK》

提供:フィスコ

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