【杉村富生の短期相場観測】 ─ 外資系2社の先物売買に振り回される日本市場!
「外資系2社の先物売買に振り回される日本市場!」
●“ウイルス”関連のフィーバーはどこまで続くのか?
新型コロナウイルス(肺炎)騒動が続いている。感染者は9000人(世界ベース)を突破し、死者は200人を超えた(1月31日時点)。内外の株式市場では、 “ウイルス”関連株が大フィーバーだ。1月30日の日経平均は401円安だったが、何とストップ高が26銘柄(全市場ベース)あった。うち、22銘柄がマスク、抗菌剤などを手掛ける企業である。
ただ、ストップ高のまま大引けを迎えたのは新内外綿 <3125> [東証2]、川本産業 <3604> [東証2]、中京医薬品 <4558> [JQ]、興研 <7963> [JQ]など8銘柄にすぎなかった。やはり、マスク関連が強い。「マスクが売り切れ」とマスコミが連日、報じていることが背景にあろう。
もっとも、中国では春節休みを返上してマスクを増産中だ。早晩、品不足は解消されるだろう。アメリカ市場では抗HIV薬「カレトラ」を生産しているアッヴィ、抗ウイルス薬のナノビリサイズ、防護服のレイクランドなどが物色されている。不安心理にせき立てられ、異常な行動に走るのはどこの国も同じということか。
ただ、ウォール街では「新型コロナウイルスが話題になっているが、アメリカの感染者はいまのところ5人だけ。一方、インフルエンザによる入院患者は12万人、死者は6600人にのぼる」と。まあ、意外に冷静である。日本市場の“ウイルス”関連株の集中人気はどこまで続くのだろうか。
●肝要なのはトレンドを読み、銘柄を絞り込むこと!
全般相場についてはどうか。日経平均株価は乱高下を繰り返している。もちろん、この背景には新型コロナウイルス(肺炎)の流行がある。ただ、先物に振り回されている面は否めない。1月30日の日経平均先物の手口を見ると、売りはABNアムロの2万1422枚、ソシエテ・ジェネラルの2万178枚だ。この2社の売りは4万1600枚に達する。
買いはABNアムロの2万5046枚、ソシエテ・ジェネラルの2万1802枚だ。「買い越しではないか」。確かに、数字的にはそうだ。しかし、高速・高頻度売買を駆使、売りたたいて下がったところを買い戻す。こんな商いを機械的に行っている。この2社の売買シェアは大証先物市場の5割近くになる。
これでは……。そう、ジェットコースターのような値動きになってしまう。もちろん、この2社が自己で売買しているはずがない。背後にはヘッジファンドなどの大物投機筋がいる。だからこそトレンドを読み、銘柄を厳選するリスク・マネジメントが重要だろう。
さて、この局面での狙い目は? 抜群に強い富士通 <6702> 、きんでん <1944> 、中外製薬 <4519> はどうか。小物では引き続いてインスペック <6656> [東証2]、バルテス <4442> [東証M]、日本ドライケミカル <1909> 、ファーマフーズ <2929> [東証2]などに注目できる。
2020年1月31日 記
株探ニュース