来週の株式相場戦略=高値圏で一進一退も、新型肺炎の影響を依然注視
来週の東京株式市場は、依然、新型肺炎 への警戒感が残るなか高値圏での一進一退となりそうだ。日経平均株価 の想定レンジは2万3700~2万4100円。
今週は、日経平均株価が前週末に比べ622円高と急反発。中国発の新型肺炎に対する警戒感に揺れた前週(1月27~31日)分の下落幅622円をそっくり埋め戻しチャート上は完全な”往って来い”となった。市場関係者からは「株式市場は、新型肺炎の影響が長期化しないことを織り込みつつあるのかもしれない」(アナリスト)との声も出ている。もちろん、先行きに対する不透明感は依然強く、「マーケットは状況を過剰に楽観視し始めている」(市場関係者)との見方も少なくない。このため、新型肺炎への警戒感が再燃するケースと鎮静化するケースを両にらみで見ていく必要が出ているものの、いまのところ日経平均株価は新型肺炎が警戒される前の1月中旬の水準に戻ったことは確かだ。
しかし、たとえ市場では新型肺炎への警戒感が一巡したとしても、日経平均株価が以前の2万4000円前後で足踏みした状態へ戻っただけと言える。足もとの決算発表では「業績は期待したほどのV字型回復には至っていない」(アナリスト)ことがネックとなっており、一段高には力不足の状況が続く。
このため、2万4000円台に乗せ18年10月高値(2万4270円)を更新するには新たな材料が必要となりそうだ。東京株式市場は製造業の比率が高く、新型肺炎の発生源である中国に近いことも、NY市場に比べ上値が重い要因と指摘されている。日経平均株価は当面、2万4000円を視野に入れた一進一退が続くことが予想される。
来週は、日米とも決算発表は終盤の佳境を迎える。国内では12日にソフトバンクグループ<9984>、13日に日産自動車<7201>、14日に日本郵政<6178>、東芝<6502>など。米国では、12日にアプライド・マテリアルズ、13日にエヌビディアが決算を発表する。特に11日から12日にかけてパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言が行われる。ここで新型肺炎の影響などに絡み、パウエルFRB議長が利下げに前向きなハト派的発言を行えば、株式市場は一段高が期待できるかもしれない。(岡里英幸)