【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ 近づく騰勢回復に備える!
「近づく騰勢回復に備える!」
●好材料の円安が響かぬ市場だが
為替市場では円が対ドルで112円台前半と、ほぼ10ヵ月ぶりの水準まで下げている。その要因として挙げられているのは、
(1)日本の昨年10-12月期GDPが年率換算でマイナス6.3%に低下した
(2)新型肺炎の国内感染者が700人を越え、死者が3人出た
これらになるが、他にもっと影響力の大きな材料がある。中国人民銀行による0.1%の利下げだ。それとともに、中国は為替レート「基準値(中間値)」を対ドルで1ドル=7.0210元に設定した。基準値としては昨年12月12日以来の低水準であり、円はそれに連動安したと見てよい。
円安はもちろん東京市場にとっては大きな支援材料であり、この点は歓迎できるのだが、残念ながらいまのところ市場はそれを好感している雰囲気ではない。確かにトヨタ自動車 <7203> 、ソニー <6758> などが買い直されつつあるものの、まったく力強さはない。
しかし、最悪局面から立ち上がる時、大抵はふらつきながらの上昇になる。確信を持って買えないため、どうしてもそうなるのだ。その場合、やはり注視すべきは、市場の足を引っ張っているネガティブ材料の「濃度」になる。好悪の材料は日が経つにつれ、「濃度」が薄らいでくる。
●新型肺炎の「濃度」もやがて薄らぐ
新型肺炎の拡大も例外ではない。この問題では、なお感染者・死者数ともに増加しているのは確かだが、マスコミの報道を見ると、一時は中国が発表する日々のデータがトップニュース扱いだった。しかし、いまでは国内の感染者などのニュースがトップにくることが増えている。時には、国会での与野党対立がトップ扱いになったりもしている。
中国での新たな感染者の増加数も1000人を割り込むようになっている。感染の拡大は続いているものの、そのペースは落ちてきていると見て良さそうで、市場は今後、次第に騰勢を取り戻す確率が高い。いまからそれに備えたい。
そこで今回は、75日移動平均線の前後まで売り込まれた銘柄の中から、次のような銘柄に注目だ。
まずはガイシ世界一の日本ガイシ <5333> だ。20日、テレビ東京の「カンブリア宮殿」で取り上げられていたが、私は同社の新製品カード電池を有望と見た。
半導体製造用の超純水装置に強いオルガノ <6368> も、下げているいまなら投資魅力がありだ。
光電子増倍管で世界市場の実に90%を制する浜松ホトニクス <6965> も、調整中のため今後それに着目した買いが見込める。
物流センターの一括受注業務に強く、空車情報と貨物情報のマッチング業務が経営を支えるトランコム <9058> も、株式市場での人気はやや薄いものの、株価は回復の兆しが見える。
最後に、ソニーも75日線近くまで売り込まれているため見逃さないようにしたい。
2020年2月21日 記
株探ニュース