ゼロから始める「株探」の歩き方 ― (15)株価の下落も上昇もチャンスにできる信用取引

特集
2020年2月28日 15時30分

レバレッジの活用は、地合いとリスク管理が大切!

横山利香(ファイナンシャルプランナー、テクニカルアナリスト)

個人投資家のみなさん、こんにちは! 株が大好き、認定テクニカルアナリストの横山利香です。

株価下落の大きさはさまざまですが、過去を振り返ればリーマンショックやチャイナショックなど、不測の事態によるショック安がいつ起きるのかは誰にもわかりません。株式市場が上昇トレンドを継続している時は、株はいつ買ってもだいたい儲かります。そのため、「自分は天才だ!」などと自意識過剰になり、もっと効率的に儲けたいと考え始めるようになります。

しかし、株式市場は永遠に上昇し続けるわけではなく、いずれ下落に転じます。上昇トレンドが終了し、下降トレンドが続くような時には、買いでは短期勝負でリバウンド上昇を抜く以外は儲かりにくくなります。なぜなら、下降トレンドが継続する間は多少の波はあるにせよ、株価は基本的に下落し続けるからです。それにも関わらず「株価が以前に比べると安くなった、割安だ」などと安易に株を買えば、株価が下落するたびに損失を増やしていくことになってしまいます。

そのため、株価が下落した時のリスクに備えて、株式投資ではいろいろな対策を取れるように普段から準備をしておく必要があります。そこで考えられる取引手法の一つが「信用取引」になります。

今回は、株探を利用して信用取引を行う時に参考にしたいさまざまな情報の見方について解説していきましょう。

◆基本の信用取引、買いと売りの2つの手法

まずは信用取引の基本を、通常の現物取引との違いでみていきます。現物取引では、自分の投資資金の範囲内で株を売り買いします。株価が安い時に株を買って、高くなったら株を売ることで儲けることができます。しかし、買った時よりも株が値下がりすれば損をすることになります。

一方、信用取引は、投資家が証券会社に金銭等の担保(委託保証金)を差し入れることで、自分の投資資金以上に株を売買できる証拠金取引になります。

信用取引には、証券会社から資金を借りて現物取引のように安い時に株を買って高くなったら売る「信用買い」の取引と、証券会社から株式を借りて高い時に株を空売りして安くなったら買い戻す「信用売り(空売り)」の2つの取引があります。信用取引では借りた資金や株式の返済方法として、こうした反対売買(信用買いの場合は建玉の売却、信用売りの場合は買い戻し)のほかに、株式を保有したまま証券会社に資金を返却する現引き(信用買いの場合)や現物株を証券会社に差し出す現渡し(信用売りの場合)があります。

まずは信用買いからみていきます。証拠金取引である信用取引では、最大で委託保証金の約3.3倍の金額まで取引できるようになります。通常、最低の保証金額は30万円ですから、100万円程度まで取引できます。少額の資金で手持ち資金以上の金額の取引が行えることを、レバレッジが効いているといいます(※レバレッジ=てこの原理)。

現物取引では、手持ち資金の範囲内での取引になります。たとえば、30万円で30万円の株を買った場合、株価が30万円から40万円に値上がりすれば10万円の儲けになります。反対に、30万円が20万円に値下がりすれば10万円の損失になります。

一方、信用取引の場合は委託保証金の3.3倍まで取引できます。たとえば、保証金30万円で30万円の株を99万円分取引でき、株価が30万円から40万円に値上がりすれば株式全体の評価額は99万円から132万円になりますので、33万円の儲けになります。反対に、30万円が20万円に値下がりすれば、99万円が66万円に減るので33万円の損失になります。レバレッジを効かせることで大きく儲けを増やすことができますが、目論見が外れて株価が下落したときは損失も大きく増えますので、信用取引の使い方には注意が必要です。

次に、信用売り(空売り)をみていきます。信用売りは株価が高い時に株を売り、株価が安くなったら株を買い戻す取引手法で、株価が値下がりすることで儲けを得ることができます。こちらの取引も、たとえば、株価が30万円の時に3.3倍の99万円分を空売りして、株価が20万円(評価額66万円)まで値下がりした時に買い戻せば、差額の33万円を儲けることができます。現物取引では株価の下落で損失が発生するだけでしたが、信用売り(空売り)を使うことで下落相場でも儲けられるようになるのです。

ただし、信用取引では手持ちの投資資金以上に取引できるメリットがある一方で、不測の事態などで株価が大きく動くような時には、レバレッジが効いている分、保証金すべてを吹き飛ばしてしまう(それ以上の損失を生む)可能性のある取引手法です。信用取引は、現物取引に比べてハイリスク・ハイリターンの取引手法になります。

次ページ: 目先のみならず将来の需給要因ともなる信用残高

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