機関投資家が金を買う理由~もっと知りたい商品先物取引

市況
2020年3月5日 17時47分

みなさんこんにちは!フィスコマーケットレポーターの高井ひろえです。金価格(TOCOM,東京金先物)は、2019年12月中旬から右肩上がりに上昇していることから注目が集まっています。また月足で見ると、2018年9月から右肩上がりの上昇を描いています。この上昇の背景にある1つの要因として、機関投資家の金買いがあります。なぜ、機関投資家は金をポートフォリオに積極的に入れるようになったのでしょうか?今回のコラムで説明します。

■金は、配当も利息もないけれど魅力的

キャッシュフローを生まない、つまり配当も利息も生まない金が、なぜ買われているのでしょうか?その理由は、世界でマイナス金利を適用する国が増えてきたからです。そして、金利がマイナスである債券よりも、金の魅力の方が相対的に増したのです。実際、主要資産と金のリターンを比較してみると、金には一定のリターンがあるということが見受けられます。2018年12月31日時点で、20年間の年間平均リターンは、日本株と日本株を除く世界株に比べて金の方が高くなっています。このため、機関投資家は金をポートフォリオに積極的に入れているのです。

■金買いでリスク分散効果が得られる

金買いをする別の理由としては、他の資産との価格の相関が低い点、もしくは逆相関である点が挙げられます。たとえば不況期において、金価格は株などとマイナス相関を強めます。そのため金を買うことで効果的なリスク分散ができるのです。さらに、金のボラティリティがそれほど高くないという点も挙げられます。他の株式指数、他の商品先物と比べて金はボラティリティが高くないため、機関投資家は金をリスク回避のための資産としてもポートフォリオに組み入れています。

■リスク調整後リターンはどうなる?

それでは、金を組み入れた場合のポートフォリオのリスク調整リターンはどうなるのでしょか。ポートフォリオに金をどれほど入れたらリスク調整後リターンが高くなるのかという試算によると、金を2.5%、 7.5%、 10%の割合で入れた場合、割合が高いほどリスクリターンの関係がよくなるという結果になっています。今回のコラムでは、配当を生まないというデメリットを乗り越えてでも、金買いが活発になっている理由をご説明しました。

フィスコマーケットレポーター 高井ひろえ

《US》

提供:フィスコ

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.