新興市場見通し:マザーズひとまず反発も警戒感続く、IPO厳しい出足に

市況
2020年3月7日 15時49分

先週の新興市場では、日経平均が下落する一方、マザーズ指数と日経ジャスダック平均は4週ぶりに上昇した。世界的に新型コロナウイルスの感染拡大が続き、株式相場も不安定な展開を強いられた。ただ、マザーズ指数は前の週に一時700ptを割り込むまで急ピッチの調整を見せていたため、成長期待の高い銘柄を中心に押し目買いが入り、材料株での値幅取りを狙った物色も見られた。なお、週間の騰落率は、日経平均が-1.9%であったのに対して、マザーズ指数は+2.2%、日経ジャスダック平均は+0.5%だった。

個別では、フリー<4478>が週間で4.3%高、ラクス<3923>が同5.2%高となったものの、メルカリ<4385>が同5.8%安、Sansan<4443>が同5.7%安となるなどマザーズ時価総額上位は高安まちまち。売買代金上位ではイグニス<3689>がVR(仮想現実)ライブ展開への期待などから買われ、大阪大学と新型コロナのワクチン開発に着手したアンジェス<4563>は週間のマザーズ上昇率トップとなった。反面、Amazia<4424>は買いが一巡すると売りに押され、前の週に上場したAHCグループ<7083>などが下落率上位に顔を出した。ジャスダック主力では2月既存店売上が比較的良好だった日本マクドナルドHD<2702>が同7.6%高、ワークマン<7564>が同5.3%高、セリア<2782>が同7.2%高と堅調。ただ、外部環境の悪化からハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>は同8.7%安となった。売買代金上位では第一商品<8746>などが大きく上昇し、太洋工業<6663>が週間のジャスダック上昇率トップだった。反面、出前館<2484>は利益確定売り優勢で、fonfun<2323>などが下落率上位に顔を出した。なお、先週から3月のIPOラッシュが始まり、4社が新規上場した。Kids Smile HD<7084>は公開価格を2割ほど上回る初値を付けたが、2社は公開価格割れ、1社は同値にとどまった。

今週の新興市場では、マザーズ指数が引き続き安値圏で推移しそうだ。日足チャートを見ると、4年ぶり安値水準である700ptがひとまず下値支持線として機能したが、積極的に戻りを試す機運も乏しい。国内外での新型コロナの影響拡大、さらに急ピッチの円高進行などから日経平均の2万円割れを予想する向きも増えてきている。実際に大台割れとなると、新興市場でもリスク回避の動きが一層強まる可能性がある。

サーバーワークス<4434>など比較的強い値動きの銘柄に加え、見直し機運の出てきたセリアやオイシックス・ラ・大地<3182>にも注目したい。なお、今週は3月11日にステムリム<4599>、12日にバルニバービ<3418>、GA technologies<3491>、プロレド・パートナーズ<7034>、13日にスマレジ<4431>、スリー・ディー・マトリックス<7777>などが決算発表を予定している。GA TECHやスマレジは業績の伸びが続くか注目されそうだ。

IPO関連では、6社の新規上場が予定されている。悪地合いのなか、引き続き公開規模の大きな案件を中心に軟調スタートとなる銘柄が出てくるだろう。3月17日などは3社同時上場となるため、初値買いの分散も需給面の懸念材料となる。なお、先週は松屋アールアンドディ<7317>(4月6日、マザーズ)など6社の新規上場が発表され、4月上旬もIPOラッシュが続きそうだ。

《HK》

提供:フィスコ

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