後場に注目すべき3つのポイント~パンデミックへの警戒が高まる展開

市況
2020年3月12日 12時46分

12日の後場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。

・日経平均は大幅続落、パンデミックへの警戒が高まる展開

・ドル・円は軟調、日本株の急落で円買い主導

・値下がり寄与トップはファーストリテ<9983>、同2位はソフトバンクG<9984>

■日経平均は大幅続落、パンデミックへの警戒が高まる展開

日経平均は大幅続落となり、前日比1003.82円安の18412.24円(出来高概算12億1870万株)で前場の取引を終えた。11日の米国株式市場では、引き続き新型コロナウイルス蔓延への警戒感から売りが先行するなか、世界保健機関(WHO)が「パンデミック」に認定すると売りに拍車がかかり、主要3指数は揃って大幅に反落。これにより、シカゴ日経225先物清算値は大阪比205円安の19165円となり、東京市場にも朝方から売りが先行した。全面安商状のなか、トランプ米大統領が欧州からの入国を30日間全面停止すると発表したことも相まって、その後もパンデミックに対する警戒感の高まりから売りが売りを呼ぶ動きに。日経平均の下げ幅は1000円を超え、ザラ場ベースでは17年4月以来の安値水準をつけている。

セクターでは、東証33業種が全て下落となるなか、とりわけ海運業が7%安、不動産業や精密機器、金属製品、鉱業の下げが目立った。売買代金上位銘柄では、ソフトバンクG<9984>が9%安になったほか、ファーストリテ<9983>、ソニー<6758>、任天堂<7974>、三菱UFJ<8306>、トヨタ自動車<7203>、オリエンタルランド<4661>、武田薬<4502>、東京エレクトロン<8035>、みずほ<8411>、資生堂<4911>、リクルートホールディングス<6098>、村田製作所<6981>、KDDI<9433>、信越化<4063>などが下落。東証1部銘柄全体のおよそ98%超の銘柄が下げる展開であった。

米NYダウは高値から20%下落した水準を割り込んだことで弱気相場入りが指摘されており、本日の東京市場でもパンデミックへの警戒感から安全逃避的な取引が活発になっている。海外ファンドなどからの大口売りも観測されており、特に値がさ株の下落が目立っている格好だ。3月にかけて、新型肺炎による感染拡大を受けたニュースフローに絡んで商品投資顧問業者(CTA)やリスク・パリティ戦略をとるファンドなどによる先物売りが本格的な下落トレンドを作り、それに中長期目線の海外マネーも少しずつ東京市場から流出するような格好になっているとみられる。

投資主体別売買動向をみると、2月第4週(25日~28日)から海外投資家による日本株(現物)への本格的な売りがようやく開始した段階であり、本日引け後に発表を控える3月第1週分(2日~6日)の現物売りの拡大幅で中長期マネーの動向を注視しておきたいところである。原油相場急落を受けた産油国の財政悪化や信用不安の高まりなども新たなリスク要因として加わり、依然として先物主導による下げ相場から現物株に対する本格的な資金流出が警戒されるタイミングでは、積極的な押し目買いは入れにくい地合いが続こう。

また、足元で日米株式市場の下支え要因になった米政府による景気刺激策の実現性に対しても不透明感が出ている。米トランプ大統領の掲げる給与税の免除については、与野党間での調整が難航している感は否めず、具体的な内容や実施時期は不透明である。そのような状況下で新たに中小企業の資金繰り支援も表明され、議会に約5兆円規模の予算措置が求められているものの、市場でこれを好感する向きも現状は乏しいようだ。一定のキャッシュポジションと、引き続き資金の逃げ足の速さを意識しながらの投資スタンスは継続する必要がありそうだ。

■ドル・円は軟調、日本株の急落で円買い主導

12日午前の東京市場でドル・円は軟調。トランプ米大統領の国民向けの演説で具体的な経済対策への言及が乏しかったため、期待はさらに後退。日経平均株価の急落で円買いが主導し、主要通貨を押し下げた。ドルは買い材料が見当たらず、目先は一段安の可能性もあろう。

ここまでの取引レンジは、ドル・円は103円10銭から104円80銭、ユーロ・円は116円81銭から117円96銭、ユーロ・ドルは1.1251ドルから1.1333ドル。

■後場のチェック銘柄

・日経VI<2035>がストップ高

※一時ストップ高(気配値)を含みます

・値下がり寄与トップはファーストリテ<9983>、同2位はソフトバンクG<9984>

■経済指標・要人発言

【要人発言】

・トランプ米大統領

「欧州から米国への入国を30日間停止」

「金融危機ではない。一時的な状況にすぎず、われわれは克服するだろう」

「EUは中国など感染者が多い国からの渡航制限をしなかった」

・フライデンバーグ豪財務相

「財政と金融政策を調整することが重要」

「刺激策は4-6月期のGDPを最大1.5%増加させる可能性」

【経済指標】

・日・2月企業物価指数:前年比+0.8%(予想:+1.1%、1月:+1.5%←+1.7%)

・日・1-3月期法人企業景気予測調査・大企業全産業景況判断:-10.1(10-12月期:-6.2)

<国内>

特になし

<海外>

特になし

《HH》

提供:フィスコ

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