大混乱相場で脚光、リーマン暴落時にも負けなかった筋金入り高配当株 <株探トップ特集>

特集
2020年3月16日 19時30分

―新型コロナ・ショックで配当利回り上昇、権利取り狙いでとっておきの優良株セレクト―

新型コロナウイルスの感染拡大で株式市場が大混乱に陥っている。世界同時株安が加速するなか、先週の日経平均株価は前週末比3318円(16%)安と08年10月のリーマン・ショック以来の大暴落となり、約3年4ヵ月ぶりに一時1万7000円を割り込んだ。16日は日銀がETF買い入れ額の倍増を決定したものの、下げ止まらず日経平均の終値は前営業日比429円安の1万7002円と大幅に4日続落となった。新型コロナの世界経済に与える影響を不安視する向きは強く、しばらくは不安定な相場展開が続くとみられる。

景気後退を警戒する売りが殺到するなか、企業の解散価値を示すPBR(株価純資産倍率)や配当利回りなどの株価指標には売られ過ぎのサインが出ている。日経平均採用銘柄のPBRは0.84倍(13日時点)とリーマン・ショック時の水準に低下したほか、東証1部銘柄の加重平均配当利回りは約11年ぶりに3%台に乗せた。今回は期末が近づいてきた3月決算企業の配当に注目し、長期にわたって減配したことがない高配当利回り銘柄にスポットライトを当てた。

●リーマン・ショック後も減配しなかった企業に注目

新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延を背景に相場が急落するなか、株価と逆方向に連動する配当利回りへの注目度が高まっている。世界経済の先行きは不透明感を増しており、減配の動きが広がることへの懸念が強いことから、今回はリーマン・ショックの直撃で減配する企業が相次いだ08年と09年も配当を減らさなかった銘柄に照準を合わせた。こうした企業は株主還元を重視する姿勢が強く、健全な財務基盤を有する企業とみていいだろう。以下では、20年3月期を含めて13年以上減配をしたことがなく、かつ足もとの業績が増益基調にある高配当株7銘柄を紹介していく。

●MS&ADは業績上振れ確実で高配当続く [配当利回り5.53%]

MS&ADインシュアランスグループホールディングス <8725> は国内損害保険大手3グループの一角で、三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保を傘下に持つ。株主還元はグループ修正利益の40~60%を自社株買いと配当で還元する方針とする。今期は1月末までに約500億円の自社株を取得したほか、配当は年間150円(前期は140円)を実施する計画だ。足もとの4-12月期業績は国内で自然災害による保険金支払いが減少し、最終利益段階で前年実績を5割上回る大幅増益を達成した。第3四半期時点で既に通期計画を大きく上回る好調ぶりで、予定通りの配当が実施される公算が高い。

●NTTは拾い場になるか [配当利回り4.18%]

国内最大の通信会社であるNTT <9432> は安定した収益・財務基盤を持つ典型的なディフェンシブ株として知られる。リーマン・ショック後も利益の落ち込みが少なく、全体相場が急落している場面は拾い場になりやすい。株主還元に目を向けると、20年3月期は9期連続の実質増配を予定するほか、5000億円規模の自社株買いを実施。加えて、今期から毎年3月末に100株以上を2年以上保有する株主を対象に、ポイントサービス「dポイント」を付与する制度を設けた。また、昨年12月に株式分割を実施するなど、個人株主を取り込む動きを活発化させており、減配リスクは低いとみられる。

●東京センチュは上場以来増配を継続 [配当利回り4.48%]

東京センチュリー <8439> は03年の上場以来、配当を増やし続けている。20年3月期は16年連続の増配となる134円(前期は124円)を計画する。前期まで5年連続で本決算発表と同時に配当を増額修正した実績があり、今年も増額する可能性がありそうだ。3月末は配当に加え、株主優待の権利確定日でもある。優待品は個人投資家に人気の高いクオカードで、100株以上を保有する株主を対象に、保有株数と保有継続期間に応じて2000円から8000円分を贈呈する。業績面では今期は営業利益ベースで11年連続の最高益見通しと安定成長を続けている。

●住友倉は自社株買いにも積極姿勢 [配当利回り4.42%]

総合物流会社の住友倉庫 <9303> は倉庫、港湾運送、国際輸送、陸上運送などを展開し、古くから保有する土地を活用した不動産事業の安定した賃料収入が経営基盤を支えている。配当性向35%を目安に配当を実施するほか、自社株取得と消却の実施を定期的に行うなど、株主還元に積極的な姿勢をみせる。足もとの業績はEC関連など陸運輸送を中心に好調で、直近3ヵ月である10-12月期(第3四半期)の営業利益は四半期ベースで最高益を達成した。20年3月期は売上高、営業利益ともに過去最高の更新を見込んでいる。

●アイカは配当性向50%で11年連続増配へ [配当利回り3.98%]

アイカ工業 <4206> は化成品部門と建装建材部門を2本柱とし、メラミン化粧板で国内シェアトップを誇る。4-12月期はインドネシアやベトナムでメラミン化粧板の販売を伸ばしたほか、原材料価格の低下や利益率の高い樹脂製品の伸長で化成品部門の採算が改善し、増収増益を確保した。20年3月期は売上高、営業利益ともに8期連続の過去最高を見込む。配当性向は50%を目標に掲げ、今期は11期連続の増配となる106円(前期は103円)を実施する方針としている。

●トーエネクは12年ぶりの最高益見通し [配当利回り4.92%]

トーエネック <1946> は中部電力 <9502> 系の電気工事大手。20年3月期の最終利益見通しは86億円(前期比29%増)と12年ぶりに過去最高益を更新する見通しだ。屋内線工事や空調管工事など一般顧客向け工事が好調なうえ、太陽光発電所の売電収入も増加基調にある。また、年金制度の見直しに伴い、退職給付費用が減少することも利益を押し上げる。年間配当は6期連続増配となる135円を計画している。

●WOWOWは“巣ごもり関連”としても注目 [配当利回り3.7%]

民間衛星放送会社のWOWOW <4839> の配当は期末にまとめて支払う期末一括配当で、20年3月期の配当は前期と同額の80円を実施する方針だ。4-12月期業績は番組制作費の減少などを背景に、最終利益段階で57億1900万円(前年同期比14%増)と2ケタ増益を達成。通期計画の56億円を既に超過しており、業績上振れが期待できそうだ。新型コロナウイルスの感染拡大で自宅での娯楽需要が高まるなか、巣ごもり関連の一角としても注目を集める。

※配当利回りは3月16日終値ベースで算出

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