来週の株式相場戦略=TOPIXに反転の萌芽も、日銀ETF買いで潮目に変化
この週の日経平均株価は前週末に比べ878円(5.0%)安と6週連続の下落。一時1万6358円と3年4カ月ぶりの安値をつけた。NYダウが連日の大幅安で2万ドル割れへ急落するなか、市場からは「下値のメドが立たない」と悲痛な声も飛び交っている。
最大の焦点は、新型コロナウイルスの感染者の増加がどこでピークを打つかだ。この点に関しては、「中国や日本、韓国といった東アジア圏は欧州や米国に先立ち落ち着きつつあるのではないか」(市場関係者)との声が出ている。もしそうなら、日本は欧州や米国に先立ち株価は底を打ち、反騰態勢を整えることもあり得るだろう。
そんななか、東京株式市場ではTOPIXの値動きへの関心が高まっている。この週のTOPIXは、17日以降では3日続伸し、週間ベースでは前週比1.7%と6週ぶりの上昇だ。日経平均とは値動きが異なる。市場関係者からは、「日経平均売り・TOPIX買い」の動きも指摘されている。ポイントとなっているのは、日銀がETF買い入れ枠を年12兆円に拡大したことだ。実際、19日に日銀は2004億円のETF買いを入れた。
日経平均ベースのETF買いはファーストリテイリング<9983>のような銘柄の株価に対する影響が大きく批判も少なくない。それだけに、今後はTOPIXベースのETF買いが主力となると見られ、TOPIX優位の展開のひとつの根拠となっている。
TOPIXは現在、1280前後の水準にあるが、下値のメドは1200前後とみられている。これは16年夏頃の水準で、折しも16年の原油価格急落の時期と一致する。TOPIXの1200にNT倍率13倍を当てはめれば、日経平均株価は1万5600円相当となる。この前後が下げ止まりを試す水準となりそうだ。
また、「4月は1年で最も株価の上がりやすい月」(市場関係者)と言われ、外国人買いも入りやすい時期だ。先行きが見通せない相場が続くが、反転に向けた芽は育ち始めているのかもしれない。来週は25日にドイツIfo景況感指数、米2月耐久財受注、26日に米10~12月GDP確定値が発表される。また27日は3月末の権利付き最終日となる。日経平均株価の予想レンジは1万5500~1万7800円。
(岡里英幸)
最終更新日:2020年03月19日 18時41分