藤代宏一氏【反騰は続くか、首都封鎖懸念と春相場の行方】 <相場観特集>
―新型コロナ禍続く、国内感染者数の急増も警戒―
30日の日経平均株価は反落。世界的な新型コロナウイルスの感染拡大懸念が相場の上値を抑えている。市場では、東京での新型コロナ感染が抑えられなければ、「首都封鎖」の可能性も浮上している。そんななか、今後の相場をどうみれば良いのだろうか。
●「先行き不透明感大きい、中国回復なら一筋の光明に」
藤代宏一氏(第一生命経済研究所 経済調査部 主任エコノミスト)
NYダウは一時回復傾向にあったが、週末27日には再び値を下げた。米トランプ政権による2兆2000億ドル(約237兆円)の経済対策が期待され、米株式市場は上昇した面がある。しかし、一部には4~6月期の米実質国内総生産(GDP)は30%減との見方もある。この大きな落ち込みに対して、GDPの10%前後の経済対策はまだ力不足といえる。しかし、もう一段の対策を打つ余力はない。それだけに、リバウンドした米株価が再び下げに転じることは、不自然ではないと思う。
新型コロナウイルスの感染拡大により、米国及び欧州の経済が止まってしまったことが問題だ。今後の展開は新型コロナの感染拡大がどこで収束するかが、やはり最大の焦点となる。
日本は、いまのところ欧米のような経済が止まってしまったような状況には至っていない。その意味では、ましな状況にあるとはいえるだろう。しかし、もし新型コロナの感染拡大で東京など首都圏がロックダウン(都市封鎖)に至れば、ショックは大きいだろう。やはり東京を中心とした新型コロナの感染状況には注意せざるを得ないと思う。
ゴールデンウイーク頃までの今後1ヵ月程度の日経平均は、1万5000~2万円前後の極めて幅広いレンジをみざるを得ないだろう。足もとの株価水準からは下値余地の方が大きい。
そんななか、注目を集めているのが、あす発表される3月中国製造業PMIだ。新型コロナの震源地となった中国だが、足もとでは感染は止まりつつあり経済活動は持ち直してきている。同PMIは先月の35.7から45前後へ回復するとの予想もある。もし、中国の経済活動が回復してくれば、それはいまコロナ禍の真っただ中にいる欧米の2ヵ月半から3ヵ月半後の姿と前向きにみることもできるかもしれない。中国の景気回復が、先行きを照らす一筋の光明となるか、どうかに注目したい。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(ふじしろ・こういち)
第一生命経済研究所経済調査部・主任エコノミスト。担当は金融市場全般。2005年4月、第一生命保険入社。08年、みずほ証券出向。10年4月第一生命経済研究所出向、同年7月内閣府経済財政分析担当へ2年間出向。12年7月副主任エコノミストを経て、15年4月より現職。
株探ニュース