【杉村富生の短期相場観測】 ─当面は上値が重くなる、と考える理由?
「当面は上値が重くなる、と考える理由?」
●実勢悪と政策対応の綱引き相場!
4~5月相場は基本的に景気の落ち込み、企業業績の下方修正、 新型コロナウイルスの感染者数などの実勢悪の顕在化とドラスチックな金融政策、財政出動などの政策対応の効果(心理面の支え)との綱引き(せめぎ合い)の展開となろう。
ただし、 日経平均株価の1万9000円超の水準では戻り売り圧力の方が強い。先に悪材料が続出するし、景気対策の発動、その効果は遅れる。もちろん、安値圏(3月19日の1万6358円が好例)では違う。政策対応のニュースに敏感に反応する。
今回(3~4月)もそうだったじゃないか。日経平均株価は一気に3000円強の急騰劇を演じた。需給面では日銀の2兆円に迫るETF買いに加え、運用資産160兆円のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の出動が報告されている。いわゆる、3月決算期末の株価を意識した「官製相場」である。
さらに、この動きに呼応し、機敏なヘッジファンドは売りポジションを手仕舞うとともに、買いに転じた。突然の猛反発に売り方(カラ売り、貸し株の借り手)はあわてふためき買い戻しを余儀なくされたと思う。
さて、問題はこれからである。既報のように、売り方の買い戻しは3月中~下旬にほぼ一巡した。「官製相場」の目的は3月決算期末をクリアすること、この株価水準では「やれやれ」の心境だろう。ヘッジファンドは日銀のETFのコスト(1万8700円絡み)をメドに、再出動(売り介入)のタイミングを図っている。
●引き続いて小すくい戦術が有効!
だからこそ、当面は上値が重くなる、と主張している。したがって、ここは利食いを優先し、現金比率を高めておく戦術が有効だろう。それに、機関投資家、法人は保有株式の評価に低下法を採用、それには多くが3月末の株価ではなく月中平均(日経平均株価の3月月中平均は1万8974円)を使う。
要するに、日経平均株価の1万9000円超では戻り売りの玉が出やすい。まあ、これだけのショック安(1カ月ちょっとで3割もの暴落)に見舞われた後だ。できるだけリスク資産のウエイトを落としておこう、と考えるのは当然の成り行きではないか。
もちろん、一時は82.69ポイントまで上昇していたVIX(恐怖)指数が43ポイントに低下、リスク・オンムードが高まる条件が整いつつある、との見方を完全には否定しない。ただ、新型コロナウイルスの制圧にはあと数カ月を要する(2003年のSARSショックの際はWHOの終息宣言は7月5日)だろう。
こうした状況下、ここでの投資作戦は引き続いて銘柄を絞り込み、売買単位を落とし(大玉は避け、小玉に)ての“小すくい”(短期・順張り)に徹する、この戦術をお勧めしたい。経験則的には2番底は1番底よりも深くなる。
狙う銘柄は? 1月8日の高値2万5130円から3月10日には7830円まで急落、出直り急のソレキア <9867> [JQ]、医療関係データベースのJMDC <4483> [東証M]、業績が急浮上見込みのJTOWER <4485> [東証M]、情報セキュリティのラック <3857> [JQ]などに妙味があろう。
このほか、直近IPO、かつ公募価格を大幅に下回っている好実態のフォーラムエンジニアリング <7088> 、リバーホールディングス <5690> [東証2]は要注目だ。ちなみに、公募価格はフォーラムエンジニアリング(45円配当)が1310円、リバーホールディングス(35円配当)が960円である。
2020年4月9日 記
株探ニュース