植物由来食品の需要が高まる、温室効果ガスの抑制効果に期待

経済
2020年4月17日 9時21分

国連では、地球上の総人口が2050年に、97億人まで膨張するという試算を出している。国連食糧農業機関(FAO)は「家畜による気候変動への取組み」という報告書の中で、「食料需要が増加し続け、畜産物への需要も70%増加する予測である。温室効果ガスの重要な排出源である家畜の育成を削減することにより、壊滅的な気候変動を回避することに寄与するであろう」と述べている。米国の食肉代替食品の普及を目指す団体GFI(Good Food Institute)は、植物由来の代替肉と牛肉の畜産を比較して「(植物由来の代替肉の原料となる)インゲン豆1キログラム生産するのは、牛肉1キログラム生産するより土地の利用で18分の1、水の使用で10分の1、化石燃料の消費で9分の1、肥料の使用で12分の1、殺虫剤の使用で10分の1以下になる」と試算している。また、「米国での食事において牛肉を豆類に置き換えれば、温室効果ガスを75%削減できる」とし、現行の畜産の在り方に警鐘を鳴らしている。

次に、植物由来食品の市場でのとらえ方を見てみると、「スイス金融大手のUBSは、2018年に5,000億円だった植物由来食品の世界市場は、環境問題や健康志向の高まりから世界で需要が急増し、2030年に9兆円市場へなると予測している」と報じられている(Bloomberg intelligence)。米国では2019年5月、ビヨンド・ミート社が植物由来食品企業単体として初めてナスダック上場を果たしている。当時、新規株式公開価格の25ドルを大幅に上回る65.75ドルで初日の取引を終えた。その後、7月に234.9ドル、8月に入ってから160ドル前後で株価は推移していた。米俳優レオナルド・ディカプリオ氏やマイクロソフト共同創業者ビル・ゲイツ氏が支援していることによる信用も大きな支えとなっている。米食品大手の「ケロッグ」、「タイソン・フーズ」も新製品の新たなブランドを立ち上げ、販売を開始している。欧州では「ネスレ」、「ユニリーバ」が植物由来食品の販売に参入した。

日本国内においても健康志向から需要が高まり、大手食品メーカーや商社が販売を開始している。2022年には250億円規模の市場になるだろうとの見方もある。

《SI》

提供:フィスコ

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