【杉村富生の短期相場観測】 ─基本的に、好悪材料の綱引き相場の展開!
「基本的に、好悪材料の綱引き相場の展開!」
●NYダウは半値戻しを達成しているが…?
いや~、すごい相場である。週末(17日)の東京市場はハイテク株を中心に大幅高となっている。トランプ大統領の発言(州の判断によって、経済活動の再開を認める)を好感し、NYダウの先物が現地の時間外に800ドル超の急騰劇を演じていることに加え、 新型コロナウイルス治療薬の開発進展のニュースに敏感に反応している。
そもそも、コロナ・ショックに関しては感染拡大のペースが落ち、有効な治療薬が開発されることがマーケット再生の条件だった。経済活動の再開は感染拡大の勢いが鈍化したことを意味する。
治療薬についてはギリアド・サイエンシズが開発中のエボラ出血熱治療薬の「レムデシビル」の初期臨床結果について日米欧の国際研究チームが「7割近くに症状の改善がみられた」と公表、「制圧」に対する期待が一気に膨らんでいる。ただ、臨床例は53人と小規模である。
ともあれ、NY市場は絶好調だ。 NYダウは2月12日の2万9568ドルを高値(史上最高値)に、3月23日には1万8213ドルの安値まで急落した。下落幅は1万1355ドルとなる。すでに半値戻しの水準(2万3891ドル)をクリアしている。テクニカル的には「半値戻しは全値戻し」という。
史上最高値奪回が狙える? 確かに、株価は強い。こうした状況を背景に、マーケットでは「コロナ・ショックをほぼ克服した」との声が強まっている。しかし、この見方はちょっと甘いのではないか。
●この局面でのテーマ&銘柄はどうか?
再三指摘しているように、4~6月相場は景気指標の悪化、企業業績の下方修正など実勢悪の顕在化とドラスチックな金融緩和、財政出動などの政策対応との綱引き(せめぎ合い)の展開になる。すなわち、その日その日の好悪材料を反映し、その力関係によって株価は上下に大きくブレる。
この値動きに振り回されてはいけない。IMF(国際通貨基金)は今年の世界のGDP成長率をマイナス3%と、大恐慌以来の落ち込みになる、と予想している。それが2カ月足らずの短期間に収束するとは考えにくい。“後遺症”が残るだろう。
それに、ショック安のあとには2番底、3番底が必ずある。だからこそ、筆者はこの局面ではいたずらに強気にならず、銘柄を絞り込み、小玉による小すくい作戦の実践を提唱している。これが株式投資におけるリスク・マネジメントだし、勝利の方程式である。
テーマ&銘柄はどうか。新型コロナウイルスの出現は産業構造、生活スタイルを激変させる。まさに、ディスラプション(破壊)だ。テレワーク、遠隔診療、オンライン教育、EC(電子商取引)、キャッシュレス、無人店舗などの導入、普及の動きが一段と加速するだろう。
もう、誰もこの流れを止められない。システム開発のベース <4481> [東証2]、情報セキュリティのアズジェント <4288> [JQ]、IT社会に不可欠のサイバーセキュリティクラウド <4493> [東証M]、電子認証のGMOクラウド <3788> などに注目できる。
2020年4月17日 記
株探ニュース