来週の株式相場戦略=波乱の5月相場はあるか、米雇用統計など注目
5月1日の日経平均株価 は一時600円を超える急落となった。ゴールデンウイークの連休を控え、利益確定売りが膨らんだようだ。その一方、前日までの4月相場は堅調だった。日経平均株価の月間の値上がり率は6.7%。特に、NYダウは11.1%上昇と約33年ぶりの高パフォーマンスになったと伝わった。例年、4月の株式市場は堅調な相場となることが多い。
しかし、「セルインメイ(株は5月に売れ)」と言われるように、5月は波乱含みとなることは少なくない。ちなみに昨年の5月の日経平均株価は7%強の下げを記録している。もちろん、5月の株安はアノマリー(経験則)に過ぎずない。ただ、気になるのは新型コロナウイルス 対策のロックダウン(都市封鎖)に伴う具体的な欧米経済への影響はこれから本格的に表面化することだ。今晩の米4月ISM製造業景況感指数は大幅な落ち込みが見込まれるほか、来週8日の米4月雇用統計では非農業部門雇用者数が2000万人強の減少(3月は70万人減)、失業率は16%(同4.4%)前後と目を疑うような急激な悪化が予想されている。
これら経済指標は「過去の数字」(アナリスト)であり、ある程度は市場は織り込んでいる。しかし、好パフォーマンスとなった4月の後だけに、利益確定売りの格好の口実にならないかが懸念要因となる。
とはいえ、当面は「米国の経済再開に向けた動きがどうなるか、日本では足もとの新型コロナウイルス感染者がどう推移するか」(同)などがポイントだ。来週は東京市場の取引は7日と8日の2日間のみだが、海外市場は通常の取引が行われているだけに注意は怠れない。
スケジュール面では、前出の米雇用統計などが注目されるほか、5日の米4月ISM非製造業景況感指数、6日の同ADP雇用統計、7日の中国4月貿易収支なども市場の関心を集めそうだ。更に、連休中に為替がどう動くかもポイントとなろう。来週の日経平均株価の予想レンジは1万8700~2万500円。
(岡里英幸)