来週の株式相場戦略=海外勢の買い戻しで堅調地合い、米中動向は警戒要因
今週の日経平均株価は前週に比べ1500円近い急伸となり、一時2万2000円近辺まで値を上げた。26日からの緊急事態宣言解除を受け、経済再開に向けた期待感が大きく膨らんだ。
日経平均急伸の主役を演じたとみられているのが、海外投資家の買い戻しだ。海外投資家は、5月第3週に現物と先物の合計で15週ぶりに買い越しに転じた。市場には、「欧米に続き日本でも経済活動が再開されることで、7~9月期にかけて経済実体は急速に改善される」(アナリスト)ことへの期待が膨らんだ。海外投資家のなかには、ポートフォリオに占める日本株に対するポジションを落とし過ぎたことから、買いを入れる動きもある模様であり、ショートカバー(買い戻し)に加え現物での買いも強まったようだ。
日経平均株価は急ピッチの上昇を続けたことから、いつ調整があってもおかしくない状況にある。ただ、今年に入ってからの海外投資家の累計での売り越し金額は8兆円超と大きく膨らんでいる。このため、「来月12日の先物のメジャーSQ頃までは、強含みの相場が続くのではないか」(市場関係者)との見方が出ている。
最大の警戒要因は、米中動向だ。トランプ米大統領は「香港国家安全法」制定に対する中国への制裁の動きを見せている。この制裁の内容が、「香港に対する優遇措置の解除ですむなら相場への影響は限られる。しかし、年始に締結された米中貿易交渉の第一段階合意が破棄されるようなら波乱はあり得る」(アナリスト)とも予想されている。その意味で今晩のトランプ大統領の会見は要注目だ。強弱感はあるもののメインシナリオは、堅調相場の持続。マツダ<7261>など自動車、商船三井<9104>など海運株、安川電機<6506>など機械株といった景気敏感株が注目されそうだ。
来週は6月5日の米5月雇用統計を筆頭に、1日の米5月ISM製造業景気指数や3日の米5月ADP雇用統計など注目経済指標が発表される。また、香港情勢をみるうえで4日の天安門事件の日も気になるところだ。決算発表は2日に日本精工<6471>、4日に積水ハウス<1928>、5日に東芝<6502>や鳥貴族<3193>などが予定されている。来週の日経平均株価の予想レンジは2万1000~2万2200円。
(岡里英幸)