来週の株式相場戦略=急伸後の調整局面に、ITなどグロース銘柄に焦点
6月第2週の日経平均株価は558円(2.4%)安と4週ぶりの下落となった。先週までの急伸相場の調整に入りつつあるようだ。
11日のNYダウは前日比1861ドル安と過去4番目の下げ幅となった。これを受け、12日の東京市場も一時600円超安となったが、引けにかけ下げ渋った。「公的年金の買い観測に加え、ETFなどを通じてショート(空売り)をかけていた個人投資家が買い戻しを入れたようだ」(市場関係者)との見方が出ていた。
特に、NYダウの下落が気になるが「新型コロナ感染拡大『第2波』への懸念などは後付けの材料にみえる。基本的には急伸した株価が調整局面に入ったということだろう」(アナリスト)とも分析されている。ナスダックの1万乗せや日経平均株価の2万3000円回復に象徴されるように、いったん目標達成で利益確定売りが出やすい状況にある。日経平均株価の下値メドは、200日移動平均線のある2万1750円前後とみられ、6月後半に向けては調整局面となる可能性がある。
個別株の物色も今週半ばから、潮流に変化が見え始めている。これまで自動車や海運、銀行などバリュー系の景気敏感株が強めに推移していたが、今週後半からIT系などグロース株に物色の流れはシフトしつつある。NEC<6701>や富士通<6702>、伊藤忠テクノソリューションズ<4739>、オービック<4684>といった銘柄は頑強な値動きを続けている。また、新型コロナ第2波が警戒されるなか、ペプチドリーム<4587>のようなバイオ株が再び人気となることも予想される。
来週は15~16日に日銀金融政策決定会合があり、黒田総裁の発言などが注目されている。また、15日に中国5月工業生産、16日に米5月小売売上高が発表される。16日と17日にパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言が行われる。来週の日経平均株価の予想レンジは2万1700~2万2800円。
(岡里英幸)