来週の株式相場戦略=下値の底堅さは継続か、デジタル投資関連株への買い続く
市場には依然、強弱感が対立しているが、相場は底堅い。来週も下値は限られるなか個別株物色を中心とする展開が予想される。来週の日経平均株価 の予想レンジは2万2000~2万3000円。
米国での新型コロナウイルス感染「第2波」への警戒感が強く、市場ではオプション市場での、日経平均株価2万円で売る権利を持つ「プットオプション」の買いも話題となっている。ただ、この日の日経平均株価が一時300円超高となった背景には、プットを買ったような「弱気筋の買い戻し」(市場関係者)があったともいわれている。結局、日米欧の金融当局の金融緩和や各国政府の財政投資を背景に株価は支えられており、情勢の大きな変化がなければ、下値が堅い状態は続きそうだ。
ただ、その一方で上値も重い。7月中下旬からは日米企業の決算発表が本格化するが、「4~6月期の業績は最も厳しい結果となったはず」(アナリスト)とみられており、その内容を確認したいとの見方は多い。こうしたなか、当面の日経平均株価は一進一退を続けることが予想される。
そんななか、市場は個別株物色が中心の展開が続く。とりわけ、DX(デジタルトランスフォーメーション)関連銘柄は強く、富士通<6702>は19年ぶりの高値に買われたほか、伊藤忠テクノソリューションズ<4739>や野村総合研究所<4307>といった銘柄が上昇基調を強めている。政府による来月の「骨太方針」では、行政のデジタル化が打ち出される見込みでありDX関連を中心とする物色は続くとみられる。
来週は1日に日銀短観、2日の米6月雇用統計が発表される。日銀短観は大企業製造業業況判断(DI)がマイナス30近辺へ大幅な悪化も予想されているが、市場はほぼ織り込み済みとみられる。米雇用統計は木曜日の発表となるが、5月が予想外の好内容となっただけに6月の結果が注目されている。3日は独立記念日の振替休日で米株式市場は休場となる。また、30日の中国製造業PMIも関心を集めている。決算発表は、29日にJ.フロント リテイリング<3086>、しまむら<8227>が予定されており、IPOは29日にエブレン<6599>と30日にグッドパッチ<7351>が計画されている。
(岡里英幸)