【植木靖男の相場展望】 ─ 上下放れは時間の問題か?
「上下放れは時間の問題か?」
●上昇、下降途中いずれの中段保ち合いか?
東京市場は6月8日の2万3178円(終値ベース)を高値に急落したが、わずか5日ほどで下げ止まり、その後戻りに入ったものの、高値を抜けずに横ばいに推移している。つまり、路地裏に入り込んで出口が見つけられずあがいている、といった状況にある。
戻りに入って早や9日間が経過しているが、いまだに方向性が定かでない。高値をつけたあと2日連続して上昇したことがないという、まさに兜町が最も嫌うカニの横ばいである。非常に珍しいケースだ。
昔から“株や殺すに刃物はいらぬ、寄り引け同値ザラバなし”という格言あるが、いまはそれに近い状況といえよう。
とはいえ、経験則からいえば、ほどなくどちらかに放れるはず。いずれにしても、上昇途中での中段の保ち合いか、下降途中の中段保ち合いとみるかが問われているといえよう。
材料面からみてみよう。上値がなかなか厚い壁となっている要因としては、新型コロナウイルス第2波への懸念、IMFが指摘するように株価と実体経済がカイ離して割高感がある。政治面から米中関係の悪化、トランプ米大統領の落選リスクなどが挙げられている。
一方、下値の壁も容易に破られそうにない。なんといっても、先進国は政府と中央銀行が一体となって財政、金融両面から大量の緩和マネーをはき出しジャブジャブ状態だ。ここへきて株式のみならず債券、金、商品にまで資金が流入している。
かくして、上下限の突破は至難とされているが、相場の本質からすれば、行き着くところへ行けば、ほんのちょっとした材料でも株価が大きく反応する。したがって、ここは材料を探すより、むしろ値動きにこそ最も目を凝らすところといえよう。その日は刻々と迫る。時間の問題か。
●政府の最重要課題に浮上した「デジタル化」
ところで、ここへきて物色の流れは次第に固まりつつあるようだ。 情報通信、医療、景気敏感の3つのグループが循環的に買われているが、当面は情報通信のグループが最も注目を集めることになりそうだ
政府は今後1年間の経済運営を本格的に議論することになった。政府が経済財政諮問会議に示した骨子は、社会や行政のデジタル化である。最重要課題としている。
すでに市場では、こうした関連株が早くも動意づいているが、今後、かなり長期にわたって市場の主役になりそうだ。いわゆるコロナ後を見据えたテーマだ。さらに、医療関連もコロナワクチン、治療薬が実用化の段階に入るまで主役の一角を占めることになろう。
そこで今回は、GMOグループの中から出遅れ感のあるGMOインターネット <9449> に注目したい。どうも将来的に居所が違うかのような人気ぶりだ。このほかエニグモ <3665> も面白そうだ。個人の輸入代行でブランド品の販売サイトを運営している。エムスリー <2413> 、レーザーテック <6920> はともに押し目は買いが入るだろう。要注目だ。
2020年6月26日 記
株探ニュース