新興市場見通し:IPO再開で初値飛ばす、新興株は個人の買い余力注視

市況
2020年6月27日 15時21分

先週の新興市場では、日経平均が22000円台でこう着感を強めるのと歩調を合わせるかのように、マザーズ指数は高値もち合いの様相を見せてきた。6月26日には取引時間中の年初来高値1067.29ptを付けたが、伸びが鈍化してきた感はある。個人投資家による循環物色の流れが続いたものの、バイオ・ヘルスケア関連株を中心に上値追いへの慎重姿勢も見られるようになった。2カ月以上ぶりのIPOは軒並み高い初値を付けたが、買いが一巡すると大きく値を崩すなどやや荒い値動きとなった。なお、週間の騰落率は、日経平均が+0.1%であったのに対して、マザーズ指数は+0.4%、日経ジャスダック平均は-0.2%だった。

個別では、マザーズ時価総額上位のメルカリ<4385>が週間で5.2%高、フリー<4478>が同5.3%高と堅調で、弁護士ドットコム<6027>は同10.7%高となった。ただ、アンジェス<4563>は新型コロナウイルスワクチンの開発に係る発表が出ても上値が重く、同0.9%高にとどまった。売買代金上位ではオンコリスバイオファーマ<4588>やITbookHD<1447>が買われ、フルッタフルッタ<2586>やGMO TECH<6026>が週間のマザーズ上昇率上位に顔を出した。反面、ラクス<3923>は同1.4%安、JMDC<4483>も同1.4%安とやや軟調で、レントラックス<6045>が下落率トップだった。ジャスダック主力ではハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>が同3.3%高となったものの、その他は日本マクドナルドHD<2702>が同1.8%安となるなどやや軟調。売買代金上位では出前館<2484>などが買われ、小僧寿し<9973>やANAP<3189>が週間のジャスダック上昇率上位に顔を出した。反面、アプライド<3020>が下落率トップとなった。IPOでは、ロコガイド<4497>とコパ・コーポレーション<7689>が公開価格の約2.3倍となる初値を付け、フィーチャ<4052>は約9.1倍とHEROZ<4382>以来の上昇率を記録した。コマースOneHD<4496>は初値持ち越しとなっている。

今週の新興市場では、マザーズ指数は引き続き一進一退の展開になるとみておきたい。足元でも個人投資家の材料株やIPO銘柄に対する物色意欲は依然として旺盛であり、中小型の新興株に投資資金が向きやすい状況も変わらない。ただ、信用買い残の積み上がりなどが報告されており、徐々に個人投資家の買い余力が低下してきた可能性はあるだろう。時価総額上位銘柄の上値がやや重くなってきたうえ、小型株や低位株の物色が活発になってきたのはその証左とも言える。

弁護士コムやJTOWER<4485>はマザーズ主力のなかでも比較的強い値動きを維持しており、需給的には買いやすいところか。ただ、やはり値幅の出そうな小型材料株が選好されやすい地合いが続くとみられる。なお、今週は6月30日にフィードフォース<7068>、7月3日にエクスモーション<4394>などが決算発表を予定している。

IPO関連では、6月29日にエブレン<6599>がジャスダックへ、30日にグッドパッチ<7351>がマザーズへそれぞれ新規上場する。ともに公開規模は小さく、事業内容にはテーマ性がある。先週上場組の株価が乱高下し、IPO人気の過熱感は拭えないものの、やはり今週も初値好調が続きそうだ。また、先週は日本情報クリエイト<4054>(7月31日、マザーズ)など3社の新規上場が発表されている。

《FA》

提供:フィスコ

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