【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ 株価割高の警鐘はホンモノか? 経済復活をみるマーケット!

市況
2020年6月28日 9時30分

「株価割高の警鐘はホンモノか? 経済復活をみるマーケット!」

●株価は実体経済から大きくカイ離? 時間軸を見誤ったIMF

国際通貨基金(IMF)が25日に公表した報告書は少々気になる内容だった。

日米株には割高感がある――こう指摘し、警戒を促したのだ。このようなことは極めて異例。それだけに説得力があり、買いを手控えたり、利益の乗った銘柄を利食った人も多かったことだろう。なにしろ、わざわざ国連の専門機関であるIMFが「実体経済とカイ離し、株価は割高」と指摘したのだ。

その根拠としてIMFが挙げたのは、次のようなものだった。

(1)日米を含む各国の中央銀行は、金融緩和で6兆ドル(約640兆円)規模の資産購入に踏み切り、投資家は過大なリスクをとっている可能性がある。

(2)IMFは企業の収益力や配当余力などをもとに株価水準を分析し、割安か割高かを0~100で数値化しているが、同モデルによると4-6月期の日米の株式市場はそろって100近辺となり、「株価は大幅に割高」となっている。

(3)2020年の国内総生産(GDP)は米国が8.0%減、日本も5.8%減が見込まれ、企業収益も下振れが避けられない状況にある。

(4)同モデルによると、中国やユーロ圏の株価水準も90弱と割高感が強い。

その他あれこれと、割高と判断する要因が述べられていて、冷静に見て内容に間違いはない。確かにご指摘通りと言わざるを得ないが、では現状が「割高」なのかどうかの判断については疑問がある。

日米市場は最近になってようやく暴落前の水準に戻ったばかりであり、IMFの割高指標が100近辺になっているとするなら、暴落前の水準に戻ったことを懸念していることになる。

そうなるには経済の裏付けが必要。IMFの認識ではこうなるだろうが、改めて書くまでもなく、株式市場は現在の経済状況によって動くのではなく、未来のそれを予見して動いている。

現在の株高は、近い将来に経済は復活する、企業業績も好転する――こう見ての動きと考えてよい。つまり、今後は株価に経済が着いてくる。こういうことであり、IMFの警告を無視はできないものの「そういう見方もあるよね」でよい。

●サイバーセキュリティ関連などに投資チャンス

では、どんな銘柄への投資が成功する確率が高いか。米国が中国の通信機器大手ファーウェイの封じ込めに本腰を入れていることで、そのメリットをフルに受ける格好になっているNEC <6701> 、アンリツ <6754> 、そしてNECネッツエスアイ <1973> などに注目だ。何しろ、米国政府が事業を応援してくれているようなものだからだ。

新型コロナウイルスには感染2波の懸念もあり、あれこれと敏感どころか神経質にならざるを得ないが、ネットセキュリティについても改めて大きく気になりはじめている。私は3台のパソコンを使っているが、朝に起動ボタンを押すたびに何か起きているのではないかと正直、不安になる。

リモートワーク中の人も当然、セキュリティには万全を期すようにしているに違いなく、その恩恵を受ける企業は多いが、その中で注目はデジタルアーツ <2326> になる。企業や公共機関向けに強く、株価は高値圏ながらさらなる上昇が見込める。

なお、キャッシュレス決済の本人確認や取引監視に強いイー・ガーディアン <6050> も見逃せない銘柄の一つになる。

このところ調整を続けている銘柄にも目を向けておくと、クラウドファンディングのプラットフォームを運営するマクアケ <4479> [東証M]、小学校のパソコン一人一台導入促進により収益増が見込めるチエル <3933> [JQ]、旅行比較サイト「トラベルコ」を運営するオープンドア <3926> などが反発待ちの対象として魅力的だ。

2020年6月26日 記

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.