来週の相場で注目すべき3つのポイント:本格的する日米企業決算、米中対立の行方、パウエルFRB議長記者会見
■株式相場見通し
予想レンジ:上限23100-下限22400円
来週の日経平均は買い上がりの決め手に欠けるなか、落ち着きどころを探る展開となりそうだ。互いに総領事館の閉鎖を要求するなど米中対立の深刻化は新たな局面に入り始め、投資家心理も悪化している。今週のNYダウは4週間ぶりに下落し、ナスダック総合指数も5月以来の続落。シカゴ日経平均先物は大阪比410円安の22340円と下げていることから、週明けの日経平均はギャップダウンのスタートとなりそうだ。
また、東京市場の連休中に米国市場ではアップルやマイクロソフトなどの主力ハイテク株に売りが継続したほか、為替相場が一時1ドル=105円台まで円高進行したことも日経平均の押し下げ要因となりそうだ。このほか、新型コロナの感染者増加に歯止めがかからず、むしろ国内では東京都だけでなく主要都市に広がりがみられる。感染者数の増加による株式市場への直接的な影響は今のところ限定的だが、警戒感は根強い。
一方、異例の会期延長でEU復興基金案が合意され、米国では新たな包括的経済対策案が検討され始めるなど政策対応も本格化してきたことは相場の下支え材料だ。28日からの米連邦公開市場委員会(FOMC)、29日のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長会見でもマーケットにとってマイナスの材料が出現するとは考えにくい。31日の米6月個人所得・個人支出、中国7月製造業購買担当者景気指数(PMI)など市場にインパクトのある経済指標の発表を控え、日経平均の上値を抑える可能性は高いものの、売り込み材料にも働かないことが予想される。日経平均などの株価指数は不透明な展開が見込まれるが、4連休が明けて決算発表が本格化することで、個別物色が活性化することが想定される。
■為替市場見通し
来週のドル・円は弱含みか。市場参加者の関心は、米中関係の行方や米連邦公開市場委員会(FOMC)での政策論議などに向けられることになりそうだ。7月30に発表される米国の4-6月期国内総生産(GDP)は、前例のない大幅な落ち込み(マイナス成長)が見込まれており、早期回復期待の後退でリスク選好的なドル買いは抑制される可能性がある。
米連邦準備制度理事会(FRB)は7月28-29日開催のFOMC会合で、緩和的な金融政策の維持を決定する公算だが、ウイルス感染拡大の影響で米国経済の見通しは不透明であることから、今回は一段の緩和に向けメッセージが示されるか、注目される。市場はFRBのイールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)の年内導入の見方を変えていないため、パウエルFRB議長の発言は重要な手がかりとなろう。
米国と中国の対立が深まっていることも、足元の為替相場に大きな影響を与える可能性がある。中国政府は24日に声明を発表し、中国・四川省成都にある総領事館を閉鎖するよう米国に要求した。米政府が中国にテキサス州ヒューストンの総領事館閉鎖を迫ったことに対抗する措置だが、米国務省は「ヒューストンの総領事館がスパイ活動や情報活動の拠点になっていた」と指摘し、ポンペオ米国務長官は「行動を改めさせるため、民主主義国家による新たな同盟を構築して対抗すべき」、「過去の対中政策は失敗」との見方を伝えている。
中国側では、外務省報道官が24日の記者会見で、中国総領事館の閉鎖要求について、「国際法や国際関係の基本原則に違反し、両国関係を著しく破壊する」と非難し、今回の措置に至った責任は完全にアメリカ側にあるとの見解を表明している。対立解消に向けて米国と中国の双方がすみやかに譲歩するような展開は期待できないため、リスク選好的な円売りは当面抑制される可能性がある。
■来週の注目スケジュール
7月27日(月):日・景気先行CI指数(5月)、日・日東電工の決算発表、米・耐久財受注(6月)など
7月28日(火):日・オムロン、ファナック、信越化、東エレク、HOYAの決算発表、米・消費者信頼感指数(7月)、米・連邦公開市場委員会(FOMC)(29日まで)など
7月29日(水):日・エムスリーの決算発表、米・パウエルFRB議長記者会見、米・フェイスブック、ペイパルの決算発表など
7月30日(木):日・小売売上高(6月)、日・アドバンテスト、コマツ、TDKの決算発表、米・GDP速報値(4-6月)、米・アップル、アマゾン、アルファベットの決算発表など
7月31日(金):日・鉱工業生産指数(6月)、Sun Asterisk、日本情報クリエイトが東証マザーズに新規上場、中・製造業PMI(7月)、米・個人消費支出(6月)など
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https://finance.yahoo.co.jp/news/detail/20200725-00934012-fisf-market
米国株式市場見通し:FOMCや主要ハイテク決算に注目(7/25)
https://finance.yahoo.co.jp/news/detail/20200725-00934011-fisf-market
新興市場見通し:新興ハイテク株は一進一退、弁護士コムなど決算や2社IPOも(7/25)
https://finance.yahoo.co.jp/news/detail/20200725-00933001-fisf-bus_all
注目の欧米経済指標:4-6月期の米国経済は大幅なマイナス成長に(7/25)
《YN》