国内株式市場見通し:米中対立を警戒して日経平均は調整入り

市況
2020年7月25日 15時18分

■日経平均は続伸、ナスダック高が刺激に

今週の日経平均は上値の重さが意識されながらも2週連続で上昇した。17日のNYダウは小幅続落したものの、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数が反発したことを受けて、週明け20日の東京市場もハイテク株を中心に買いが先行し、日経平均は小幅反発のスタートを切った。新型コロナウイルス感染拡大への懸念などから前週末比116.23円安まで下落する場面があったが、日銀のETF(上場投資信託)買いもあり、大引けにかけて切り返した。20日のNYダウは一段安の場面があったものの、ウイルスワクチン開発の治験で良好な結果が発表されたほか、米国政府および議会が追加財政策の協議を開始したことが好感され3営業日ぶりに上昇。アマゾンなど主要ハイテク株が急反発し、ナスダック総合指数は過去最高値を更新した。この流れを好感して、21日の日経平均も続伸した。朝方の買い一巡後はもちあう場面があったものの、大引けにかけてはEU(欧州連合)復興基金案の合意のニュースも好感され、一時22925.58円まで上げ幅を広げる場面があった。21日の米国市場は主要3指数まちまちの展開となった。22日の東京市場は4連休を控えた持ち高整理の売りもあり、反落スタート。その後もマイナス圏で推移するなか、時間外のNYダウ株価指数先物が上げ幅を縮小したこともあり、大引けの日経平均は前日比132.61円安の22751.61円と3日ぶりに反落した。22日のNYダウは米国政府のウイルスワクチン確保のニュースと財政支援策の協議延長が好感されて3日続伸し終値で27000ドル台を回復した。ただ、23日のNYダウは前日比353.51ドル安、24日は同182.44ドル安と続落した。ウイルス感染者数の急増や週間新規失業保険申請件数の予想外の増加に加え、米国政府がテキサス州ヒューストンの中国総領事館の閉鎖を命じた報復措置として、中国政府も成都の米国総領事館閉鎖を要求し、米中対立深刻化で投資家心理が悪化した。

■上値重さを意識し日経平均に不透明感

来週の日経平均は、買い上がりの決め手に欠けるなか、落ち着きどころを探る展開となりそうだ。互いに総領事館の閉鎖を要求するなど米中対立深刻化は新たな局面に入り始め、投資家心理も悪化している。週間で今週のNYダウは4週間ぶりに下落、ナスダック総合指数も5月以来の続落、シカゴ日経平均先物は大阪比410円安の22340円と下げていることから、週明けの日経平均はギャップダウンのスタートとなりそうだ。また、東京市場の連休中に米国市場ではアップルやマイクロソフトなどの主力ハイテク株にも売りが継続したほか、為替が一時1ドル=105円台までの円高をみていることも指数の押し下げ要因となりそうだ。このほか、新型コロナウイルスの感染者増加に歯止めがかからず、むしろ国内では東京都だけでなく主要都市に広がりがみられる。感染者数の増加による東京市場への直接的な影響は、今のところ限定的にとどまっているが、警戒感は根強い。一方、異例の会期延長でEU(欧州連合)復興基金案が合意され、米国では新たな包括的経済対策案が検討され始めるなど政策対応も本格化してきたことは相場の下支え材料だ。28日からのFOMC(連邦公開市場委員会)、29日のパウエルFRB議長会見でもマーケットにとってマイナスの材料が出現することは考えにくい。31日の米6月個人所得・個人支出、中国7月製造業PMIなど市場にインパクトのある経済指標の発表を控えて、日経平均の上値を抑える可能性は高いものの、売り込み材料にも働かないことが予想される。日経平均など指数的には不透明な展開が見込まれるが、4連休が明けて決算発表が本格化することで、個別物色が活性化することが想定される。

■業績相場が本格化

21日に決算を発表した日本電産<6594>が22日にかけて8日続伸し1月の年初来高値を一気に更新してきた。ただ、東京市場の連休中にインテルが急落し、アップルやマイクロソフトなどの主力ハイテク株にも売りが継続したことで、ハイテク株には模様眺めムードが台頭する可能性がある。なお、30日はアップル、アマゾン、アルファベットといったGAFAの決算発表が集中する。その結果が東京市場に反映されるのは31日となり、月末の指数形成にも影響が出そうだ。一方、国内では28日にファナック<6954>、東京エレクトロン<8035>と、FA関連や半導体関連の決算が集中することがポイントとなる。また今週後半の米国市場ではハイテク株が下げる一方、巣ごもり消費の恩恵を受けるアマゾンやネットフリックスが逆行高したことから、東京市場でも巣ごもり消費が注目される可能性がある。このほか、中小型株では、今9月期業績を増額修正したマザーズのマクアケ<4479>が足元で3月末から株価3倍超となるパフォーマンスを見せている。コロナ禍でも企業成長が見込まれる銘柄を選別する、業績相場が本格化してこよう。

■FOMC、米6月個人所得・個人支出、中国7月製造業PMI

来週の主な国内予定は、27日に7月14・15日開催の日銀金融政策決定会合の「主な意見」、1-3月期の法人企業統計確報、31日に6月失業率・有効求人倍率、6月鉱工業生産、7月の消費動向調査など。一方、海外では、28日にFOMC(29日まで)、米7月CB消費者信頼感指数、29日にパウエルFRB議長会見、米6月中古住宅販売仮契約、30日に米4-6月期GDP、31日に米6月個人所得・個人支出、中国7月製造業PMI、ユーロ圏4-6月期GDPが予定されている。

《FA》

提供:フィスコ

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