前場に注目すべき3つのポイント~ハイテク株の底堅さを見極めたいところ
29日前場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。
■株式見通し:ハイテク株の底堅さを見極めたいところ
■キヤノン、2Q営業利益81.9%減 151億円、コンセンサス下回る
■前場の注目材料:島津製作所、PCR試薬増産、月60万検体分に倍増
■ハイテク株の底堅さを見極めたいところ
29日の日本株市場は、こう着感の強い相場展開になりそうである。28日の米国市場では、NYダウが205ドル安となった。共和党上院が追加財政策案を発表したものの、民主党案とかけ離れており交渉が長引くとの懸念が強まったほか、7月消費者信頼感指数が予想を下回り、景気回復が停滞するとの懸念も強まり下落で寄り付いた。
その後、連邦準備制度理事会(FRB)が緊急融資プログラムを9月末から12月末まで延長することを発表すると一時下げ幅を縮小したが、景気回復への懸念が払拭できず、引けにかけては再び下落幅を拡大した。シカゴ日経225先物清算値は大阪比95円安の22515円。円相場は1ドル105円10銭台と円高に振れて推移している。
シカゴ先物にサヤ寄せする格好からやや売り先行の展開になりそうだ。ナスダックはハイテク株主導の下げを受けていることもあり、日経平均の重石になりそうである。もっとも、追加財政策案発表は昨日の段階で織り込まれており、米国市場の反応も想定内といったところであろう。そのため、売り一巡後は心理的な支持線として意識される22500円のほか、25日線での攻防といったところだろう。日銀のETF買い入れによる需給面での下支えも意識されやすく、下を売り込む流れはなさそうである。
なお、昨日取引終了後に1Q決算を発表した東エレク<8035>はコンセンサスを上回る進捗だったこともあり、日経平均を下支えしてくることが期待される。とはいえ、足元では利食い優勢の流れが続いていることもあり、戻りの鈍さが意識されてくるようだと、次第に他のハイテク株への利益確定の流れに向かわせやすいところである。東エレクの値動き次第では短期筋の先物による売り仕掛け的な動きには注意しておきたいところ。
また、中小型株についてもやや手掛けづらさが意識されている。マザーズ指数は1000Ptが心理的な抵抗として意識されやすく、一部の材料株に短期的な値幅取り狙いの資金が集中する以外は模様眺めムードが強まりそうである。決算は本格化する中、決算内容が評価される中小型株には個人主体の資金が向かいやすい。また、短期的な値幅取り狙いの流れとしては、低位の材料株などへ資金が向かいやすいと考えられる。
■キヤノン、2Q営業利益81.9%減 151億円、コンセンサス下回る
キヤノン<7751>は第2四半期決算を発表。売上高は前年同期比17.8%減の1兆4556.27億円、営業利益は同81.9%減の151.22億円だった。コンセンサス(440億円程度)を大きく下回る。新型コロナウイルスの流行で事務機などの需要が急減。最終損益が88億円の赤字となり、四半期の最終赤字は開示を始めた00年以降で初めて。6月末の配当は33年ぶりに減配。
■前場の注目材料
・米長期金利は低下
・日銀のETF購入
・米景気刺激策への期待
・コロナ向けワクチン開発の進展
・島津製作所<7701>PCR試薬増産、月60万検体分に倍増
・トヨタ<7203>国内生産、8?10月上振れ、米中で販売好調
・富士フイルム<4901>来年からワクチン原薬製造拡大、米大統領が資金援助
・三菱自<7211>水島製作所に80億円投資、新型軽EVを生産
・NEC<6701>感情分析で快適生活実現、エストニア社提携
・住友化学<4005>インドで攻勢、農薬事業、旧ECCとシナジー追求
・東レ<3402>UF膜、中国・無錫市の廃水処理設備で採用
☆前場のイベントスケジュール
<国内>
・特になし
<海外>
・10:30 豪・4-6月期消費者物価指数(前年比予想:-0.5%、1-3月期:+2.2%)
《ST》