明日の株式相場戦略=「8月は円高の特異月」を意識か、FOMCに注目
29日の東京株式市場は、日経平均株価が前日比260円安と大幅安。特に、業績悪化企業への売りが膨らみ、キヤノン<7751>が13%安、日産自動車<7201>が10%安、ファナック<6954>が7%安と散々な結果となった。「未定」としていた通期業績予想が発表されたら、その内容悪化に驚いて大量の投げ売りが出た格好だ。
そんななか、警戒材料となっているのが、為替の円高だ。この日は1ドル=104円80銭台と4カ月半ぶりの円高水準に振れた。今晩、結果が発表される米連邦公開市場委員会(FOMC)が注目されているが、金融政策は現状維持の見通しだ。
ただ、「景気悪化を食い止めるためにも、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長はハト派姿勢を強める」(市場関係者)との見方が多く、記者会見での発言が注視されている。そしてFOMC後、為替は円安に戻るか、だが「米中対立の激化も気になる。8月は円高の特異月とも呼ばれている。場合によっては、来月にかけ103円後半まで円高は進むかもしれない」(アナリスト)との声もある。
米国の追加経済対策では、1兆ドルを提示する共和党と3兆ドルを提案する民主党との溝は深く、折り合いがどこで付くかもポイント。年後半の景気回復という大きな図柄に変化はないが、目先の市場環境には、不透明感も出ている。
今晩は米国でボーイング、フェイスブック、クアルコムなどの決算がある。東京市場では、明日はコマツ<6301>や富士通<6702>、アドバンテスト<6857>、JR東日本<9020>などが決算を予定している。
また、明日の引けにかけては10~12月期決算企業に対するTOPIX浮動株比率の見直しで、リバランス売買が発生する可能性がある。買い需要が大きいのは不二家<2211>やLINE<3938>など、売り需要が大きいのはキヤノン電子<7739>、富士ソフト<9749>などとの予想も出ている。(岡里英幸)
最終更新日:2020年07月29日 17時51分