話題株ピックアップ【夕刊】(1):テラ、チェンジ、エムスリー
■アサヒホールディングス <5857> 3,635円 +520 円 (+16.7%) 本日終値 東証1部 上昇率3位
アサヒホールディングス<5857>が一時前日比18.3%高の3685円と急騰し、年初来高値を更新した。29日の取引終了後、21年3月期の連結税引き前利益が過去最高の208億円(前期比17.8%増)になりそうだと発表。従来予想の158億円(同10.5%減)から大幅上方修正となり、これを好材料視する買いが入った。貴金属リサイクル分野における貴金属回収量の確保に加え、貴金属価格の上昇が追い風となる。また、北米の貴金属精錬分野で製品加工・販売や金融取引が増加することなども収益を押し上げる。業績好調に伴い、今期配当を従来計画の140円から160円(前期は130円)に増額修正することも明らかにした。前日終値ベースの配当利回りは5%を超えており、株主還元の強化も好感された。なお、同時に発表した第1四半期(4~6月)の同利益は前年同期比63.1%増の53億1100万円だった。
■日本精化 <4362> 1,573円 +162 円 (+11.5%) 本日終値 東証1部 上昇率5位
日本精化<4362>が3日ぶりに急反発。同社は29日取引終了後に、21年3月期第1四半期(4~6月)の連結決算を発表。営業利益は前年同期比22.9%増の10億3100万円となり、上半期計画13億5000万円に対する進捗率は76.4%となった。売上高は同3.4%増の73億9500万円で着地。新型コロナウイルス感染症対策製品への需要増加で、環境衛生分野の販売が増加したことなどが寄与した。なお、上半期及び通期の業績予想は従来計画を据え置いている。
■テラ <2191> 1,299円 +109 円 (+9.2%) 本日終値
テラ<2191>が急反発。同社は29日夕刻に子宮内膜由来幹細胞の投与終了と治療効果概要について、27日と28日に続き経過を開示、メキシコ・イダルゴ州保健局への薬事申請についてセネジェニックス・ジャパンから当該薬事申請にかかわる申請書類を受領したことを発表した。同社の株価は、「業務提携の経過に関する不明確な情報が生じている」と東証から注意喚起されたことなどを受け、ストップ安を含めここ連日で大幅下落を余儀なくされていたが、目先は突っ込み警戒感もありリバウンド局面に入っている。株式需給面では直近、外資系経由の空売り残の増加が観測されており、その買い戻しを誘発した面もあるようだ。
■チェンジ <3962> 9,160円 +740 円 (+8.8%) 本日終値
チェンジ<3962>が大幅高。同社は29日取引終了後に、20年9月期第3四半期累計(19年10月~20年6月)の連結決算速報値を公表。売上高は前年同期比64.5%増の87億6500万円、営業利益は同4.1倍の33億1600万円になったようだと発表した。子会社のトラストバンクが運営している、ふるさと納税プラットフォーム「ふるさとチョイス」で、取り扱い寄附額が伸長したことや手数料率が向上したことなどが寄与。また、中期経営計画の達成に向けた施策に対する投資とのバランスを重視したコストコントロールを行ったことが利益を押し上げた。こうした状況を踏まえ会社側では、8月12日に予定している第3四半期決算発表時に通期業績予想の上方修正ができる見込みだとしている。
■北陸電力 <9505> 694円 +43 円 (+6.6%) 本日終値
北陸電力<9505>が急反発。29日の取引終了後に発表した21年3月期第1四半期(4~6月)の連結経常利益が前年同期比2.7倍の154億100万円に急拡大して着地したことが好材料視された。売上高は総販売電力量の増加があったものの、燃料費調整額の減少などから1473億1100万円と前年並みだった。一方、利益面は火力発電設備に係る修繕費の減少や燃料価格の下落を受け大幅増益となった。なお、通期業績予想は未定のままとしている。
■エムスリー <2413> 5,430円 +310 円 (+6.1%) 本日終値
エムスリー<2413>がマドを開けて大幅続伸。株価は前日比9%高の5580円まで上値を伸ばし、上場来高値を更新した。29日の取引終了後に発表した21年3月期第1四半期(4~6月)の連結決算(国際会計基準)は、売上高354億7800万円(前年同期比15.3%増)、税引き前利益112億2200万円(同25.8%増)と2ケタ増収増益達成しており、これが好感された。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、製薬会社からマーケティング支援の受注が急増し、メディカルプラットフォーム事業の収益が大きく伸びた。また、オンラインサービスの需要増加で中国などアジア地域を中心に大きく成長した海外事業も業績拡大に貢献した。なお、通期業績見通しは新型コロナウイルスの影響を合理的に算出することが困難であることから引き続き未定としている。
■カゴメ <2811> 3,215円 +155 円 (+5.1%) 本日終値
カゴメ<2811>が3日ぶりに反発。同社は29日取引終了後に決算を発表し、第2四半期(4~6月)の事業利益が43億5500万円と市場予想(40億円前後)を上回ったことが好感された。国内外ともに外食向け商品の販売は落ち込んだが、国内の飲料や加工食品が堅調。巣ごもり消費による内食回帰で、家庭向けが伸びたことを評価する買いが流入した。
■RSテクノ <3445> 4,140円 +185 円 (+4.7%) 本日終値
RS Technologies<3445>が急反発し年初来高値を更新した。29日の取引終了後、20年12月期の連結業績予想について、売上高を227億円から235億円(前期比4.1%減)へ、営業利益を32億円から43億円(同8.8%減)へ、純利益を24億円から28億円(同7.7%減)へ上方修正したことが好感された。上期において、米中通商摩擦による景気減速や新型コロナウイルス感染症拡大の影響を考慮し、プライムシリコンウエーハ製造販売事業の業績悪化を想定していたが、顧客の需要増加により、想定していたほどの業績悪化に至らなかったことが要因としている。
■野村ホールディングス <8604> 501.4円 +21.6 円 (+4.5%) 本日終値
野村ホールディングス<8604>が大幅高スタートで6日ぶり反発に転じた。29日の取引終了後に発表した21年3月期第1四半期(4~6月)の連結税引き前利益が前年同期比2.4倍の1818億1100万円に急拡大しており、これを好感する買いが向かった。3月のマーケット急変からの正常化や顧客の取引量増加などを背景に、フィクスト・インカムや米州・アジアのエクイティ収益が大きく伸び、ホールセール部門の収益が急拡大したことが寄与。ホールセール部門は米国会計基準の適用を開始した02年3月期以降で過去最高の収益となった。また、個人向け営業部門の採算が改善したことも大幅増益につながった。
■シマノ <7309> 23,030円 +770 円 (+3.5%) 本日終値
シマノ<7309>が大幅続伸、前日に700円超の上昇で上場来高値を更新したが、きょうは一時1000円を上回る上昇で未踏の2万3000円台に乗せてきた。20年12月期は減収予想ながら最終利益段階では前期比13%増の583億円と2ケタ伸長を見込んでおり、好業績見通しを評価した機関投資家とみられる資金の流入が観測された。新型コロナウイルスの感染拡大が警戒されるなか、通勤にバスや電車を使わずに自転車を利用する動きが強まっており、自転車部品大手の同社には社会構造の変化に伴う中期的な追い風が吹くとの見方が株高を後押ししたもよう。また、台湾でも大手自転車メーカーの株価が同様の背景で上場来高値をつけるなど、日本だけではなく海外市場でも似たようなテーマ物色の流れが確認された。
株探ニュース