3カ月で8000万→1.4億円、リベンジ成功の根っこは“すごメンタル”
コロナ相場でしくじり、とりでみなみさんの教訓~最終回
登場する銘柄
パソナグループ<2168>、日本たばこ産業<2914>、東京海上ホールディングス<8766>、ジャストシステム<4686>、サイバーエージェント<4751>、日本動物高度医療センター<6039>、東京エレクトロン<8035>、セレスポ<9625>、アルテリア・ネットワークス<4423>、ビックカメラ<3048>、トランザクション<7818>、GLP投資法人<3281>
普段は残業&休日出勤に追われる多忙なサラリーマン。使用中の証券口座のパスワードを忘れること5回以上という、自称「超長期投資家」。投資に割く時間の最小化を図りながら、最大の投資効果が出るよう目指す。長期で伸びそうな産業に着目し、10~20年で株価が上昇する銘柄をじっくり探す。投資歴は17年。200万円を元手に資金を追加しながら、「50歳で資産3億円」を目指している。現在の運用資産は計画より1年半遅れだが約1.4億円に。相場が荒れようがその場に居続けることが大切と、足元のような不安定な状況になっても継続投資の姿勢は揺るがない。
第1回「資産半減、億り人陥落の憂き目から生還した『とりでアラート』とは」を読む
第2回「『俺ってまだ買えるじゃん』と勘違いしてハマった悪魔の取引」を読む
第3回「損切り一辺倒では『安値覚え』と、リベンジ買いのゴング鳴らす」を読む
この「しくじり」シリーズの最終回は、2カ月で8000万円を溶かして資産半減に陥った後、3カ月で6000万円を取り戻したとりでみなみさん(ハンドルネーム、以下とりでさん)のリベンジトレードについてフォーカスする。
通常、大きな失敗をしたら、少しでも早くそれを挽回したくなるのが人の常。だが急がば回れ。焦ってしまうと冷静さを失い、それが原因でケアレスミスを重ねてしまいがちだ。そうなったら失敗を取り返すどころか、逆に傷口を広げてしまいかねない。
では、とりでさんは、どうだったのか。まずは、念願の億トレの地位から陥落してしまった3月初め頃の心境をのぞいてみよう。
意外なことに、資産半減でもパニックにならず、冷静さ保つ
本人が振り返るに、損がどんどん膨らんでいった時の心境は、常に想像しうる最悪の状況のイメージはしていたので予想外の事態という感じはなかったという。ただ、事前に考えたパターンの中では、進行が早く最悪のシナリオだった。
それでも、慌てずにいられた理由について、とりでさんはこう語る。
「実は、以前から自分はどんなにピンチの状況に追い込まれても、ひどいパニック状態に陥るようなことにはならないんです。今回も、けっこう冷静に、自分ができることを淡々とやり続けることができたんですよ。だからこそ、3月下旬から始まった戻り相場の波に、うまく乗れたんでしょう」
大きな損失を出してしまったにもかかわらず、冷静さを保ち続ける。その"すごメンタル"は、常に最悪を想定しつつ自分を客観視できる癖が身に付いているからではないかという。
"すごメンタル"の原点は、高校・大学時のツラい入院経験から
本人が思い出すに、その原点は高校の入学時にあった。新たな一歩を踏み始めたその時期に、なんと病を患いしばらく入院することに。命に関わるような状態ではなかったものの、床をのたうち回るほどの激痛や過酷な食事制限などを経験。これによって、ツラいことがあっても、たいていのことは、当時の苦しみに比べれば、大したことはないと考えられるようになったという。
その後、クラスには1カ月遅れで合流することになったが、すでに出来上がった環境の中で、自分はどう皆の中に溶け込めばいいのか、「教室の中をひたすら観察していた」(とりでさん)。そうするうちに、クラスの雰囲気の中で「遅れてきた自分はどのような存在として見られているのか?」と、 自然と自分を客観視する経験を積むことになった。
実は大学生の際にも、とりでさんは同じ病気で入院することに。前回よりも比較的症状は軽かったものの、一日中ベッドの上で何もできない時間を過ごす中で、「悩んでいても、何も変わらない」と自覚し、「自分が最善と思うことをやり続けることが大切であり幸せなこと」という考えを持つようになっていた。
この高校、大学時代の経験が、今回のとりでさんのリベンジ戦には大きく関わっている。その時、土台となった考えは
① | 精神状態がパニックに陥ると平常時には出来ていたことが出来なくなるものだが、失ったものを早く取り返そうとせず、いつも通りにその時最善と考える手を打ち続けることに徹する必要がある |
② | 投資は、最終的に自ら決断し実行するという自分という人間そのものに帰結するもの。自分という人間の強さ・ 弱さ、長所・短所を見極めて、自分に最適な投資手法を見つける必要がある |
③ | 場当たり的に得意ではない手法をとると、予想もしないリスクに遭遇することになると肝に銘じなければならない |
――というものだ。
では、とりでさんは3月下旬、早いものでは同中旬から始まったリベンジ戦で、具体的にどんな銘柄に着目し売買していったのかを次ページから見ていこう。
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