【杉村富生の短期相場観測】 ─ポストコロナをにらんだ動きが活発化する産業界!
「ポストコロナをにらんだ動きが活発化する産業界!」
●株式市場のアノマリーはことごとく“逆目”に!
荒っぽい相場展開である。インデックス(日経平均株価、TOPIXなど)、個別銘柄ともに乱高下を繰り返している。基本的に投資家の多くがサマーバカンスだ。市場参加者が少ないし、東証1部の売買代金は2兆円に満たない日が多い。それだけに、流れをつかみ、トレンドを読み、慎重に銘柄を選別することが重要になろう。
ただ、4月以降、不透明感の要因とされてきた数々のアノマリー(株式市場における不思議な出来事)はことごとく“逆目”になっている。たとえば、「8月は季節的に円高」がそうだ。専門家は「1ドル=102円前後があり得る」と予測していたが、実際は105~106円の円安水準である。
日経平均株価については「過去30年間で8月は最もパフォーマンスが悪い」。さらに、NYダウは大統領選挙の年の8月は「堅調」だが、「9~10月は調整する」とのデータがある。アノマリーを信じると、夏~秋相場は「円高、株安」のパターンになる。しかし、アノマリー(経験則)は崩れている。
あまり、意識する必要はないと思う。まあ、個別物色である。筆者は総論(森)よりも各論(木)が大切と主張している。もちろん、森が枯れれば木も枯れるのが世間の道理だ。全面安には抵抗できない。だからこそ、全般相場の解析(読み)が必要になる。
国内的には最大の気掛かり材料だった安倍晋三首相の健康問題がとりあえず、沈静化したのが大きい。マーケットでは「2012年以来のアベノミクス相場は終わった」とコメントする人がいた。失礼な話じゃないか。
●“勝ち組”アマゾンの経営戦略のすごさ!
いずれにせよ、アメリカでは大統領選挙が佳境を迎え、経済界ではコロナ後の動きが徐々に活発化している。特に、筆者は絶好調のアマゾン・ドット・コム(AMZN)がニューヨークなど6都市でホワイトカラー3500人を採用する、とのニュースに興味をそそられた。すべて在宅勤務ではなく出社を前提にしている、という。
採用するのはハイスキールのIT技術者、クラウド設計者、データサイエンティスト、DX(デジタルトランスフォーメーション)デザイナーなど。ニューヨークでは2000人を採用し、破産した老舗デパート跡地を買収、5.8万平方メートル規模のオフィスを作るらしい。ここに“新旧”交代の厳しい現実がある。
それと、コロナショックによってテレワークが叫ばれ、都心部のオフィスを次々に縮小するのが潮流という状況下、まったく逆の行動パターンの企業が出現している。“勝ち組”の経営戦略は無視できない。そう、在宅勤務は早晩、修正を余儀なくされるだろう。
さて、ここでの狙い目は都内での不動産投資を開始した青山財産ネットワークス <8929> [東証2]、株価大出直りのインスペック <6656> [東証2]、チャート妙味、かつIT支援のライトアップ <6580> [東証M]、大上放れ後、初押しのcotta <3359> [東証M]が面白い。じっくり狙える。
直近IPO銘柄ではSpeee <4499> [JQ]、フィードフォース <7068> [東証M]、モダリス <4883> [東証M]がしっかりだ。株価的にはやはり、直近IPOのアイキューブドシステムズ <4495> [東証M]が出遅れている。
2020年8月21日 記
株探ニュース