米国株式市場見通し:9月相場に警戒

市況
2020年9月5日 15時02分

9月は年を通じて季節的にも相場が弱い月となる。今年は特に大統領選挙を2カ月後に控えた不透明感も加わり、高値からは利益確定の売り意欲が強まりそうだ。今週からの流れで、ワクチン実用化への期待からハイテク株から景気敏感株への移行も継続しそうだ。議会が再開するのは中旬以降。追加のパンデミック救済策もまだ合意のめどが立たない中、国民を支援する失業保険補助金の支払いが滞ったまま。中小企業支援プログラムの行方も不透明のままだ。さらに、家賃が払えない市民に対する立ち退きリスクも上昇している。航空会社や中小企業は業績の大幅悪化で第2次従業員解雇を強いられる。こういった状況下、弱い回復を支援するため、FRBは想定されていた以上に長期にわたり低金利を維持する方針を示しているが、同時に、財政支援の拡大も必至だ。30日には予算期限切れとなるが、ペンス副大統領は追加財政策で合意なくとも政府機関の閉鎖を回避することでは民主党と合意しているとしており、支援策への期待も後退しつつあり懸念材料となる。

さらに、中国が米国債を売却しているとの報道もあり、米中対立リスクにも注意が必要だ。なお、7日はレーバーデーで休場となる。

経済指標では、7月JOLT求人(9日)、8月生産者物価指数(PPI)、週次新規失業保険申請件数、7月卸売在庫(10日)、8月消費者物価指数(CPI)(11日)が予定されている。FRBがインフレ指標として特に注視しているコアCPIは3月来の高水準となった7月に並ぶ予想だが2%の目標には程遠く、FRBの高官がインフレの脅威を感じている気配は全くない。

企業決算ではメッセージサービスのスラック、ヨガなどのスポーツウェアメーカー、ルルレモンアスレティカ(8日)、家具販売のRH、アパレルのアメリカン・イーグル・アウトフィッター(9日)、在宅フィットネス事業を展開するペロトン・インタラクティブ、オンラインペット用品小売りのチューイー(10日)などが予定されている。

外出規制が奏功した需要増加でRHやペロトン・インタラクティブは、好決算が期待される。また、経済の活動再開やオンラインの売り上げ増で小売り各社決算が予想を上回る傾向にあるためルルレモン、アメリカン・イーグル・アウトフィッターズの決算でも業績回復に期待が集まる。特に、ペロトン・インタラクティブはJPモルガンが同社の目標株価を引き上げており、アナリストの期待も高い。

(Horiko Capital Management LLC)

《FA》

提供:フィスコ

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