明日の株式相場戦略=スガノミクス、官民を挙げてのDX相場

市況
2020年9月8日 17時30分

きょう(8日)の東京株式市場は、前日の米国株市場がレーバーデーの祝日に伴う休場だったが、欧州株市場で各国の主要株指数が大きく上値を指向したことが追い風となった。日経平均は184円高と結局きょうの高値圏で着地し、東証1部全体の8割の銘柄が上昇した。売買代金もわずかながら6営業日ぶりに2兆円ラインを上回った。

とりあえず安堵したところで、自ずと投資家の関心は今晩の米国株市場に向かうことになる。東京市場の取り引き時間中の米株価指数先物は、NYダウ先物は買い優勢だが、最近のハイテク株売りの流れを引きずりナスダック100先物はやや軟調気味に推移していた。ムード的には今晩の米国株が主要3指数ともに25日移動平均線を足場に切り返し、留飲を下げる展開がイメージされる。ただし米大統領選を控え、トランプ大統領周辺の動きひとつでマーケットの流れが変わりやすく予断は許さない部分もある。

11月の大統領選に向けて、トランプ大統領は中国に対する強硬姿勢を改めて浮き彫りにしている。これが全体相場の重荷となる、という見解がマスコミの誘導する一般的な論調。しかし、市場関係者の間では現実的なポイントはそこではないと指摘する声もある。給付金トレーダー、いわゆるロビンフッダーの動向がカギを握っており「何が何でもカネを撒きたい(給付金を止めたくない)トランプ大統領と、それに反対する共和党の重鎮」、この争いが今最もホットな戦いであるという。米国ではレーバーデーを通過した8日から失業者への給付金継続に関する議論が熱を帯びることになる。スマホで小口トレードするロビンフッダーが米ハイテク株の運命を支配するというのは本質と離れていると個人的には思うが、米国株は既にバブルの色彩が強いとみている向きにとって、給付金問題がどうなるかは一つの“指標”として重要視しているようだ。

ただ、今週のECB理事会でも金融緩和政策の維持で変化はないとみられるし、会合後のラガルド総裁のコメントもおそらく相場にフレンドリーであろうことが予想される。来週の日米の金融会合も同様で、少なくとも眼前に断崖絶壁が迫っているようには見えない。

東京市場に目を向けると、景気敏感株のリターンリバーサルの色が濃いが、個別材料株の物色意欲も旺盛である。次期首相が濃厚な菅官房長官の発言で、引き続き「デジタル庁」創設に絡む銘柄に息吹が吹き込まれている。直近ではフォーカスシステムズ<4662>が立ち上がってきた。ここ株価水準を一気に切り上げたITbookホールディングス<1447>や、前日の当欄で出遅れ妙味に言及したキャリアリンク<6070>も同様だが、デジタルトランスフォーメーション(DX)案件で企業と官公庁双方に受注実績の高い銘柄に活躍期待が高まっている。フォーカスシステムズはその点、システム開発会社として民間、公共分野と守備範囲が広い。経営戦略もAI・IoTやクラウドなどに重心を置き時流を捉えている。また、きょうは長い上ヒゲを形成する形となったがSIG<4386>にも目を配っておきたい。同社は官公庁向け主力で開発から運用までワンストップで提供できる強みを有する。

既に4連騰であっという間に900円台半ばまで歩を進めたスプリックス<7030>は、押し目買い対象として注目。同社は個別指導塾を運営するがITを教育事業に採り入れており、企業のテレワーク導入と同じ流れで在宅学習のニーズが喚起されるなかで教育アプリの企画開発などに期待が大きい。教育分野もデジタルシフトが加速する。

セントケア・ホールディング<2374>は訪問介護を主力とする介護サービス会社だが、同社もAI絡みで意外性がある。AI搭載の汎用ロボットプラットフォームを手掛ける米アイオロス社に出資、これも超高齢化社会に対応した“介護DX”の流れに乗る。

このほか、ウィズコロナ環境で顕在化しているオフィスのリメイク需要では、その関連株にも物色の矛先が向き始めている。明豊ファシリティワークス<1717>が動兆、合わせて株価低位のフォーバル・リアルストレート<9423>などもマークしておく価値がありそうだ。

日程面では、あすは8月のマネーストック、8月の工作機械受注など。海外では8月の中国消費者物価指数(CPI)、8月の中国生産者物価指数(PPI)などが予定される。

(中村潤一)

出所:MINKABU PRESS

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