富田隆弥の【CHART CLUB】 「過熱相場に調整の兆し」

市況
2020年9月12日 10時00分

◆レーバーデー(9月7日)を挟んで米国株は3日続落。3日間でNYダウ平均は-5.5%、ナスダックは-10%と厳しい下げに見舞われた。下落の要因はいろいろあるだろうが、8月31日に大幅な株式分割を行ったアップルとテスラに小口の利益確定売りが集中したことが大きく、それが指数全体に売りを伝播させたと見ている。

ナスダックは3月安値6631ポイントから9月2日の1万2074ポイント(ザラバ高値)まで一本調子に82%も上げていた。チャートに過熱信号が灯っていても、それをあざ笑うかのように余剰マネーの流入によって「もうはまだ」と言わんばかりに上げてきたが、チャート的にはいつ調整を挟んでもおかしくなかった。

◆米国のほか日本や欧州において金融・財政支援による後押しがまだ続くことから、今回の調整を「健全なスピード調整」と捉える向きは少なくない。ただ、過熱を強めていたチャートを踏まえると、3日間程度でスピード調整を終えるとは思えない。

◆9月のスケジュールやポイントを挙げておくと、(1)3月安値から半年(安値期日)を迎える、(2)日米ともメジャーSQ(先物・オプション清算日、日本9月11日、米国18日)が到来、(3)日本は14日に自民党総裁選、16~17日に日銀金融政策決定会合、19日からお彼岸の4連休、(4)15~16日にFOMC(連邦公開市場委員会)、などがある。

◆大きく上昇してきた株価が調整の兆しを見せた。9月のスケジュールやポイントをこれまでのように「良いとこ取り」にできるとは限らず、スピード調整を少し長引かせる可能性も否めない。日本株のカギを握るのは米国株であり、彼岸明けまでもうしばらく様子見も一策と思われる。

◆余談だが、ソフトバンクグループ <9984> による米国株の巨額デリバティブ取引が報じられた。これでは投資会社ではなく「投機会社」だ。今年、仮に利益を上げたとしても、来年もその次の年も「増益」の追求に追われ、投機から手を引けなくなるだろう。上場会社としての品格が問われる。

(9月10日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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