雨宮京子氏【大波乱の20年相場、年度後半の行方を読む!】 <連休特別企画>

特集
2020年9月21日 10時00分

◆波乱が中長期上昇相場の継続を後押しか?

今年も残すところ3カ月余りとなったが、新型コロナウイルスの感染拡大、そして安倍首相の退陣と、年明けにはとても想像できなかったような衝撃的な出来事が起きた。ただ、これらの出来事は今後の経済に大きな影響を及ぼすものの、逆に、これらがあったがために、中長期的な上昇相場が続く可能性が出てきたのも事実と言えよう。

まず、新型コロナウイルスだが、その初期にショック安を引き起こしたのは記憶に新しいところ。日経平均株価でみると、年初来高値からの下落率は実に3割に達した。実体経済の悪化度合いはリーマンショック時を超し、回復の兆しは見えるもののコロナ以前の水準には程遠い状況になっている。ところが、株価はというと、既にコロナショックで崩落した直前の水準を回復。この背景にあるのは世界的な金融緩和を背景にした金余りであることは言うまでもない。

こうした実体経済からかけ離れた株価上昇局面、これが平時であれば金融当局が金融引き締めに動くことが十分考えられる。しかし、経済が完全に回復していない段階においては、金融の引き締めはあり得ない──先日の日銀政策決定会合、FOMC(米連邦公開市場委員会)ではともに金融政策の維持を決定、日米金融当局によってコロナ禍が終息するまで金融緩和の継続が担保されていることが確認された格好だ。そう、平時の状態が続いていれば、今ごろ金融引き締めに怯えていたかもしれなかったが、コロナ禍によって、当分の間、ジャブジャブの資金で株式市場は支えられるようになったのである。

◆規制緩和を中心に政策期待が買い材料に

一方、安倍首相の退陣だが、これも実は上昇相場を継続させる材料になりそうだ。菅新首相は完全に安倍政権の経済政策を踏襲するだけではなく、海外勢が評価する規制緩和などの改革を本格的に打ち出そうとしている。もしかしたら、来年の任期まで安倍首相が務め上げたのであれば、政策面で規制緩和といったポジティブな面が注目されることはなかったかもしれない。それどころか、総裁選において菅氏ではなく、別の人物が首相になってアベノミクスが継続されなかった可能性さえある。それを考えれば、株式市場にはツキがあるとしか言いようがない。

ジャブジャブの資金に支えられ、かつ、新政権による政策期待など、年内の相場について不安はない。米大統領選挙という不安材料はありながらも、最近の日本株は米国株との相関性が薄れている。当面は、新政権の政策期待という独自の相場を構築できる素地があり、米国株の動向を必要以上に気にせずとも済むからだ。早期に解散総選挙が行われても、過去の経験則ではむしろ政策期待から買い材料になろう。

そうした中での投資戦略だが、ここは菅新政権の政策を重視し、「政策買い」を基本に考えるところだ。以上を考慮し、ここから妙味が大きい銘柄をピックアップしてみる。

◆ここから狙う、妙味ある「注目10銘柄」

◎ソースネクス <4344>

会議室用Webカメラ「ミーティングオウル プロ」の出荷台数がコロナ禍で順調に推移している。コロナ終息後、将来的に「ポケトーク」の回復に期待。

◎朝日ネット <3834>

独立系のネット接続サービス大手。 テレワークの普及で接続サービス事業に追い風が吹いていることから狙い目が大きい。

◎メディカル・データ・ビジョン <3902>

10月よりオンライン診療に参入。メディカル・データ・ビジョンが保有する3000万人分の医療ビックデータや約80万人分の電子カルテの活用で、ビジネスチャンスの広がりが期待される。

◎アイネス <9742>

デジタル庁創設の構想の推進で、将来的に情報行政システムなどのDX(デジタルトランスフォーメーション)の拡大を想定。自治体向け売上が4割を占める同社に追い風が吹く。

◎うるる <3979> [東証M]

全国の官公庁・自治体・外郭団体の入札情報を一括検索・管理できる業務支援サービスのほか、データ入力などのBPO事業を展開。入札のIT化に力を発揮しそうだ。

◎ビジョン <9416>

Wi-Fiルーターレンタルサービスの利用者が、累計1500万人を突破。テレワークやオンライン授業のニーズは高い。海外出張など回復すれば、法人向けグローバルWi-Fiが収益に貢献してきそうだ。

◎ダイワボウホールディングス <3107>

傘下のダイワボウ情報システムが国内のディストリビューターとしては初めてAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)ビジネスを手掛け、自治体、教育機関などのクラウドシフトやデジタル変革を後押しする。

◎三菱総合研究所 <3636>

NTTドコモ <9437>と自治体が保有するデータを活用し、健康寿命を延伸させることで自治体の医療費や介護費を抑制するサービスの提供に向けて協業。これが注目される。

◎エアトリ <6191>

Go Toトラベルへの東京追加で再び注目を集める。戻り高値を更新してチャート上は2000円台までは真空地帯で、短期回転も狙えそうだ。

◎フェローテックホールディングス <6890> [JQ]

半導体ウエハー子会社を中国当局などに売却すると発表。その資金をもとに政策に沿うように国産化に注力。300ミリ半導体ウエハーの増産に向けた資金調達の多様化やグループの財務体質を改善。PBR0.74倍と割安。

<プロフィール>(あめみや・きょうこ)

経済ジャーナリスト。元カリスマ証券レディとして、日興証券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスキャスター、SBI証券 投資情報部などを経て現在に至る。

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