富田隆弥の【CHART CLUB】 「膠着からの放れ足」

市況
2020年9月26日 10時00分

◆9月の米国株は調整を強めている。23日現在、NYダウ平均は9月3日の高値2万9199ドルから安値2万6715ドルまで8.5%、ナスダック総合指数は2日の高値1万2074ポイントから安値1万0519ポイントまで12.8%の下落だ(ザラバ値)。日足チャートを見ると、どちらも25日移動平均線と下値抵抗線を割り込み「陰転」を暗示している。

◆バロンズ誌によれば、秋に相場が不安定になる背景にはユダヤ教の言い伝えがあるという。「ユダヤ教の祝日(ユダヤ暦の新年)であるロシュ・ハシャナ(今年は9月18日)に株式を売り、ヨム・キプール(贖罪・罪滅ぼしの日、同28日)以降に買い戻せ」というもので、1971年以降のこの期間の騰落は22勝27敗だという。現時点で今年の結果は分からないが、どうも1敗を追加しそうな雲行きだ。

◆「28日以降に買い戻せ」とあるなら、そろそろ調整を終えてもおかしくない。NYダウ、ナスダックともに調整が3週を経過し、日足チャートは75日移動平均線に差し掛かり、短期RCI(13日線、25日線)が底値圏(-50%以下)に入ってきた。

◆だが、NYダウとナスダックが好転するには少なくとも割り込んだ25日移動平均線(NYダウ2万7976ドル、ナスダック1万1249ポイント)を奪回しなければならない。カネ余りの時代ではあるが世界のマネーが米国株に集まり、過熱を無視して6ヵ月近く上げ続けた後だけに、楽観するのは好転を確認してからでも遅くない。

日経平均株価は2万3000円台で膠着が続く。米国株が波乱の割に日本株は堅調だ。日銀のETF買いや9月中間配当狙いの買いが下値を支えているほか、スガノミクスへの期待もあろう。いずれにせよチャートは膠着からの「放れ足」がポイントで、29日以降の推移が注目される。

(9月24日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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