【村瀬智一が斬る!深層マーケット】 ─ 日経平均は2万4000円を意識したスタンスに

市況
2020年10月10日 8時00分

「日経平均は2万4000円を意識したスタンスに」

●菅首相主導の改革で注目高まる政策関連テーマなどが主軸に

今週の日経平均株価はこれまでの保ち合いレンジの上限だった2万3500円を突破し、一時2万3700円を回復する場面がみられた。週初は新型コロナウイルスに感染したトランプ大統領が早期退院するとの報道が材料視されて買いが先行。その後も薄商いの中で膠着感の強い展開ながらも底堅さが意識された。週半ばにはトランプ大統領が追加経済対策について民主党との協議の延期を指示したことが嫌気される場面がみられたが、そこでも調整場面では押し目買い意欲の強さが窺えた。

来週も外部環境を睨みながらの相場展開となりそうだが、米大統領選の行方について市場はバイデン氏優位と見つつも、ポジションを大きく傾けにくいところだろう。追加経済対策を巡る不透明感も方向感を掴みづらくさせよう。来週15日には大統領候補による2回目の討論会が予定されているが、前回同様に混乱が生じたとしても、市場は押し目買いの流れに向かいそうである。

また、来週はJPモルガン・チエースやゴールドマン・サックスなど主要金融企業の決算を皮切りに決算シーズンに入るため、政局重視から業績を重視した物色へと向かいやすい。なお、日本時間14日にアップルが特別イベントを開催する。市場では新型スマートフォン「iPhone 12」を発表するとみられており、改めて5G関連などへの物色が意識されやすいだろう。

日経平均は2万3500円を支持線に、上値は2万4000円を意識したスタンスに向かうと考えられる。新たな制度や規制緩和などを巡る動きが連日のように伝わっており、菅新政権による改革の動きは活発な印象だ。これらに関連するテーマ株への物色が継続しよう。中小型株については物色に広がりはみられずとも、マザーズの主要どころには継続的に物色資金が向かっており、需給状況は良好である。

●今週の活躍期待「注目5銘柄」

◆サイオス <3744> [東証2]

オープンソースソフトウェアやAIクラウド、金融技術に強みを持つ企業を傘下に擁する持株会社であり、自社開発ソフトウェア製品の販売とサービスの提供を行っている。10月1日には子会社3社間でサイオステクノロジーを吸収合併存続会社とする構造改革を実施。主要子会社に経営資源を集中させることでデジタルトランスフォーメーション(DX)推進の加速による事業成長が見込まれる。株価は8月に窓を開けて急落した後は、700円を挟んで狭いレンジでの取引が続いていたが、足もとでリバウンド基調が強まってきており、75日移動平均線を突破。窓埋めからの一段の上昇に期待したい。

◆チームスピリット <4397> [東証M]

勤怠管理や工数管理、経費精算などの働き方改革プラットフォーム「TeamSpirit」を提供。政府主導によるテレワークやDX化の普及推進に伴い、顧客企業の生産性を高めるクラウドサービスなどの需要拡大が見込まれる。大企業ではデジタル化に向けた取り組みが進展しているが、中小企業においては依然進んでおらず、中長期的な成長期待は大きいだろう。株価は8月3日安値1741円をボトムにリバウンド基調を強めてきており、年初以降の上値抵抗帯の突破が意識される。

◆東京応化工業 <4186>

フォトリソグラフィを用いた微細加工技術をベースに、半導体製造分野や半導体パッケージ、MEMS製造など幅広い分野にわたって事業領域を拡大。半導体製造用フォトレジストで世界トップクラスのシェアを有する。極端紫外線(EUV)の開発も積極的に進めており、半導体市場における微細化・積層化の進展が追い風となろう。また、7月からフォトレジストの生産を韓国で始めており、サムスン電子向けに採用が期待される。株価は7月高値6020円をピークに調整をみせていたが、上昇する25日移動平均線が支持線として機能している。

◆ティーケーピー <3479> [東証M]

貸会議室を中核にレンタルスペース、イベントホールなどの運営を手掛ける。新型コロナ感染症の拡大に伴う外出自粛制限などの影響による貸会議室の落ち込みが嫌気され、株価は急落を余儀なくされたが、緊急事態宣言の解除後は緩やかなリバウンドを形成。さらに新たな生活スタイルの広がりに伴い、必要な時に利用するフレキシブルオフィスの需要が高まっており、足もとではレンタルオフィスが好調だ。株価は8月下旬から調整トレンドにあったが、10月2日安値の2217円から切り返し、上値抵抗として意識されていた75日移動平均線を突破。直近で52週移動平均線を捉えてきており、トレンド転換が意識される。

◆ハーモニック・ドライブ・システムズ <6324> [JQ]

減速機やモーター、センサーなどのシステムを統合したモーションコントロールを主力に、精密減速機ハーモニックドライブなどの減速装置を手掛けている。新型コロナの感染防止を目的とする非接触ニーズは協働ロボットの成長を加速させる可能性があり、中長期的な成長期待は大きい。米中対立の行方は警戒されるものの、「5G」サービスが本格化するなか、スマホ工場などの設備増強に伴い精密減速機の需要が増えそうだ。また、産業用ロボットメーカー向けの需要も経済活動再開が本格化していく中で回復をみせよう。株価は昨年1月以降、利食いをこなしながらリバウンド基調を継続しており、18年1月高値の8350円を意識したトレンドを形成している。

2020年10月9日 記

株探ニュース

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