為替週間見通し

通貨
2020年10月17日 15時37分

【今週の概況】

■弱含み、欧米経済の先行き不安高まる

今週のドル・円は弱含み。10月12日に105円85銭まで買われたが、米大統領選挙前の追加経済対策の合意は困難との見方が広がったことや、欧米諸国における新型コロナウイルスの感染増加を受けて欧米経済の先行き不安が強まり、リスク回避的なドル売り・円買いが優勢となった。クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長が「米国経済の回復には1年以上かかる」との悲観的な見方を示したことも嫌気され、一時105円04銭まで売られる場面があった。

16日のニューヨーク外為市場でドル・円は、105円台前半でもみ合う展開となった。ドイツ、イタリアで新型コロナウイルスの感染者が増加しているとの報道を受けて、リスク回避の円買いが観測されたが、この日発表された9月米小売売上高と10月米ミシガン大学消費者信頼感指数速報値は市場予想を上回ったことから、リスク回避のドル売りは縮小。ドル・円は一時105円23銭まで下落したものの、105円44銭まで戻しており、105円41銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:105円04銭-105円85銭。

【来週の見通し】

来週のドル・円はもみ合いか。米大統領選を約2週間後に控え、共和党のトランプ大統領と民主党のバイデン候補の直接対決が注目される。最新の情勢調査によると、バイデン候補はトランプ大統領をリードしており、複数の州で両者の支持率は10ポイント程度まで拡大しているもよう。両候補によるTV討論会は10月22日が最後となり、その場でトランプ大統領がどこまで巻き返せるのか、注目される。

市場参加者は追加経済対策に関する与野党合意の行方を注視しつつ、バイデン候補の政策の柱である増税・大型投資の影響を織り込み始めている。大型投資はアメリカ経済の将来にとって好材料との見方が増えており、大規模な増税はアメリカ経済を圧迫するとの懸念はある程度緩和されているようだ。

ただ、世論調査ではバイデン候補の優勢が伝えられているものの、実際は大接戦との見方も根強い。株式市場などはバイデン候補の勝利(民主党への政権交代)をある程度織り込んでいるが、外為市場ではリスク選好的な取引はやや縮小し、ドル・円などの値動きは小幅にとどまる可能性がある。なお、19日に発表される中国の国内総生産(GDP)が市場予想を上回った場合、世界経済の早期回復への期待が広がり、リスク選好的な取引が増える可能性がある。ただ、ユーロ、豪ドル、英ポンドに対する米ドル売りが優勢となった場合、ドル・円の取引でもドルの上値はやや重くなる可能性があるとの声が聞かれている。

【米大統領候補者TV討論会】(22日開催予定)

10月22日開催の大統領候補者TV討論会は、9月29日の直接対決以来2回目。バイデン候補にリードされているトランプ大統領が、増税・大型投資を掲げる民主党の主張に反論し、高い評価を得ることができれば、米国株高や長期金利の上昇が予想されるため、ドル買いが優勢となる可能性も。

【米10月製造業・サービス業PMI】(23日発表予定)

10月23日発表の米10月製造業・サービス業PMIが市場予想を下回った場合、株安・ドル安につながる見通し。9月はほぼ想定通りとなったが、改善のペースは緩慢になっている。

予想レンジ:104円00銭-107円00銭

《FA》

提供:フィスコ

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.